浜松市中央区坪井町のモデルハウスが「ウッドデザイン賞2024」を受賞! 「JAPAN WOOD PROJECT」メンバーが思いを語る
- 坪井町のモデルハウスは「JAPAN WOOD PROJECT」の今がカタチになった場所
- 「JAPAN WOOD PROJECT」の新しいビジネスモデルの創出が評価された
- 全国を巻き込んだ活動にしていくことが今後の目標
ウッドデザイン賞表彰式の様子
2024年12月4日、東京ビッグサイトにて、「ウッドデザイン賞2024」の表彰式が行われました。表彰式には担当役員の立田さんが登壇。審査委員長の赤池 学様より賞状を受け取りました。「JAPAN WOOD PROJECT」飛騨と天竜の取り組み
取材班 「ウッドデザイン賞2024」の奨励賞(審査委員長賞)の受賞、おめでとうございます。坪井町のモデルハウスは、「JAPAN WOOD PROJECT」の飛騨と天竜のそれぞれの取り組みがカタチになった場所ですね。まずは、飛騨と天竜でどのような取り組みをしているのかという部分から、読者のみなさんに説明できればと思います。
山本さん 大径化して使いどころのなくなった丸太を有効活用する「JAPAN WOOD PROJECT」は、天竜から始まりました。丸太から柱と梁を切り出した際に残る端材を、建具や家具などの製品に加工した住宅づくりを行なっています。これまでに「はままつフラワーパーク」にベンチなどを寄贈してきたほかにも、浜松市内の認定こども園に天竜ヒノキでつくった遊具を寄贈してきました。
井上さん 飛騨では、広葉樹の直径30センチメートル未満の小径木を有効活用しています。家具づくりで知られる飛騨では、直径30センチメートル以上の木が家具に適しているとされ、直径30センチメートル未満の木は利用価値の低いチップに加工されるだけでした。それを、化粧材や床材として使おうというのが飛騨での取り組みです。
「ウッドデザイン賞」応募のきっかけ
取材班 ありがとうございます。「ウッドデザイン賞」は飛騨のメンバーが中心になって応募資料などをつくってきましたが、賞にエントリーすることになった経緯を教えてください。
内田さん 「『ウッドデザイン賞』の趣旨と『JAPAN WOOD PROJECT』の志に近しいところがあるのでは」という常務からの提案でした。2024年の7月にオープンした坪井町のモデルハウスは飛騨と天竜、双方の取り組みを生かしているので、いいのではないかと。
取材班 エントリーの際は、どのようなポイントを押し出したのでしょうか。
井上さん 地域とのつながりです。審査員の方のコメントにも「販売と工務店がバリューチェーンを構築し、大径木の利用拡大と住み手にとっての快適性の両立を目指した地域のビジネスモデルを評価した」とあり、自分たちの取り組みを評価してもらえたと感じています。
取材班 坪井町のモデルハウスでは、どのような場所に飛騨と天竜の木が使われているのでしょうか。
内田さん リビングの天井と主寝室にあしらった化粧材です。これまでに「JAPAN WOOD PROJECT」の住宅を選んでくださったオーナー様には、キッチンに化粧材をあしらう方もいました。
井上さん 飛騨の化粧材は「美しい」「かっこいい」と評判ですよね。
山本さん 天竜の木は構造材がメインなので、目には見えないところで使われています。でも、扉材や巾木(はばき)といった細かいところにも活用されているんですよ。
受賞を初めに知ったメンバーは……
取材班 受賞を知った時は、どのような気持ちでしたか?
内田さん 自分のメールアドレスが窓口になっていたので、初めに知ったのは僕なんです。受賞の知らせが目に飛び込んできた時はよっしゃ、と心のなかでガッツポーズをしました。その後、急いで業務用のグループチャットでみんなに共有しました。
井上さん うれしかったです。まさか上位賞をいただけるとは思っていなかったので、夢心地でした。
内田さん エントリーする際に2023年版のパンフレットを見ながら、「ここ(※受賞一覧)に載りたいね」と話していましたもんね。
井上さん ですね。「JAPAN WOOD PROJECT」の協力会社の方も、自分のことに喜んでくださっていましたね。
山本さん 木の産地ごとに異なる課題に取り組んでいますが、問題を解決したいという志は同じ。こうして双方の取り組みがカタチになった場所が評価されて、うれしかったです。
取材班 「JAPAN WOOD PROJECT」はアイジーコンサルティングの有志による活動ですが、みなさんはどうして「JAPAN WOOD PROJECT」に参加したのでしょうか。
井上さん ちょうど自分が入社した頃に、天竜での取り組みが始まったと記憶しています。海外の木材が安く手に入るなかで、国内の木材に利用価値を見出そうとしているので、「すごいことをしているな」と思っていました。参加したのは、「井上さんもどう?」と誘いを受けたからなのですが、こうして賞をいただけるような取り組みに参加して、改めて良かったと感じています。
内田さん 自分は普段は営業職で働いているので、お客様に提案をする以上は自分がその価値を知っていないといけないな、と感じて参加しました。会社のなかでも大きな取り組みなので、参加できてうれしかったのを覚えています。
山本さん 自分はプロジェクトの発足時から参加しています。天竜の活動が始まったのは、福島県に丸太を余すところなく利用している企業があるのを知って、「私たちも何かできないか」とヒントを得てのこと。天竜では小さい丸太ばかりが使われて、大きくなった丸太が山に残り続けているのが問題だと把握して、今も課題に取り組み続けています。
全国を巻き込んだ一大プロジェクトに
取材班 「JAPAN WOOD PROJECT」の今後の展望を教えてください。
井上さん 飛騨では、まだ化粧材という形でしか有効活用できていないので、将来的には床材や格子材などに使っていきたいと思います。また、飛騨と天竜以外にも全国各地で日本の林業が抱える問題があるはずなので、いろいろな会社が賛同して取り組みに参加してくださればうれしいです。
内田さん スケールの大きな話にはなりますが、活動が広がっていって、国産資源が永久的に使われていく未来をつくっていければいいですよね。林業の方に「JAPAN WOOD PROJECT」の紹介をした時、「え、この木を捨てずに使えるの?」「こんな姿になるんだ」と喜んでいた姿が忘れられません。
山本さん そのエピソードは「この木をこんな風に使えるんだ」という、業者間の相互理解が進んでいない証拠でもありますよね。お客様と山をつなぐ、すばらしいプロジェクトだと思うので、もっといろいろな取り組みをしていけるようにと思います。
井上さん 自分は林業の方が「この木も家になるんだね」と話していたのが印象的です。「JAPAN WOOD PROJECT」を通じて、木材の新しい価値を生み出していきたいです。
アイジーコンサルティングの思い描く未来が、賞という形で評価された今回。途方もない大きなプロジェクトではありますが、「私たちのやろうとしていることは、間違いではないのだ」という確信にもつながりました。
この場を借りて、「JAPAN WOOD PROJECT」を支えてくださっているみなさまにお礼を申し上げます。