「園づくり」と「家づくり」の共通点。はままつフラワーパーク×アイジースタイルハウス
- 四阿が安全とワクワクを届ける
- 寄付で叶った観覧車の再生。
- 公共の役に立つことがやりがいに繋がる。
- 全てにおいて大事なことは「心が行き届いた空間づくり」。
建築事業部 アイジースタイルハウス浜松・豊橋
マネージャー
植物好きで、最近は自宅でアガベを株分けして量産することにハマっている。
建築事業部 アイジースタイルハウス浜松・豊橋
施工管理
自宅の建築を機に植物を育てる事にハマっている。
寄贈したベンチと四阿のその後
取材班 今回はベンチだけでなく四阿の寄贈もさせていただきましたが、どういったお話から製作に至ったのでしょうか?
佐原さん フラワーパークさんから「来園者が休むところがあるといいな」といったお話をいただき、そこから僕たちがイメージを作ってご提案し、実現に至りました。
取材班 アイジースタイルハウスとしては初めて製作したのではないかと思いますが、こだわったポイントなどはありますか?
芥川さん 外に置くという点や、人が休憩する場所という点において、構造面には特に注意を払いました。あとはフラワーパークさんに置かせていただく物なので、デザイン性を高めなければと考えていました。今回は弊社の建築オーナー様でもあるJIROさんに描いてもらったものを寄贈できて、デザイン面でも良いものをご提供出来たと思います。とても素敵な四阿になったので、フラワーパークさんに置かせていただけて凄く嬉しかったですね!
塚本さん 本当にありがとうございます。あの四阿を見せていただいた時にね、子どもさんの秘密基地というか、隠れ場所みたいでワクワクしました。中に入ったら太陽や山の絵があって、明るい気持ちにもなります。子どもさんが使ってくれるといいなって思いますね。だから、あの四阿の中に、楽しい丸太のようなスツールみたいなものがあったらいいかも、なんて勝手に思っています(笑)
佐原さん そうですね、丸太スツールあると良いですよね、すぐご用意できると思います(笑)ちょうど子ども広場みたいなところに置けたので、そういう意味でもお子さんが集まる素敵な場所になりそうですね。
取材班 今まで寄贈させていただいたベンチは、来園者の方々にお使いいただけていますでしょうか?
塚本さん もちろん!毎日暑い日が続いてますから、エアコンの効いた休憩所に置かせていただいたり、その周りに置かせていただくことが多くて…。先日も、暑いから歩いてる人いるのかしら?って思って見に行ったら、休憩所の中で涼みながらベンチに腰を下ろしてくださっていました。ああ、きっと暑い中お庭を散策した後、ご利用いただいてるんだなあと感じましたね。
実は私が、3年前からパーキンソン病を患いまして。歩きにくくなってきて、すぐ座りたくなるんですよ。一つのところに同じ姿勢で立つっていうのが苦痛なんです。歩いてる分には良いんですけど、立って打ち合わせをする、お客様と立ち止まってお話するっていう場面では、腰掛けベンチが必須なんです。「ああ、体が不自由な人はこんなにベンチが必要なんだ」って、自分の身体を通してベンチの有難さを痛感するんですね。本当の利用者の気持ちが分かるようになりました。だからベンチを寄贈いただけることは本当に有難い次第です。
地元に住まう人との繋がり
取材班 我々以外にもたくさんの方々が寄付・寄贈の活動をされていると思いますが、他にはどのような支援がございますか?
塚本さん 本当に、地元の企業様や個人のお客様から多大なるご寄付をいただき、何とか運営ができているという次第です。私が理事長になってからのお話ですが、はままつフラワーパークの観覧車が経年劣化していて・・・市からは解体した方がいいという話もありましたが、浜松市民の今お母さん・お父さんになっている人たちにとって、フラワーパークのシンボルは観覧車なんです。小さい時にご両親やおじいちゃん・おばあちゃんと観覧車に乗った思い出を持ってる人たちがいっぱいいるはずだから、観覧車は残したいと考えました。でも残すならば、錆止めをして綺麗に塗装して、安全点検までしっかり行わなければならない。すると、壊すよりも残す方がお金がかかるんですね。
ちょうどご寄付をいただけるという方とそんな話をしていたら、「お金は全部出すからやりなさい」って言ってくださったんです。その気持ちがありがたくて、私たちの売上も加えて、維持のために必要なことは全部やり切りました。
佐原さん そういった寄付は個人の方が多いのですか?
塚本さん 個人の方もいらっしゃいますし、地元企業の方々からご支援いただくこともあります。我々はままつフラワーパークは公共の施設ですけど、中には民間経営の植物園もあります。民間に比べて公共の施設は入場料を上げづらく、植物園の経営はほとんどが赤字。そんな中で最大限の運営を行うためにも、こういった地元の皆様からのご支援が本当に有難いです。地域に住まう皆さんの思いで成り立っている感じがしますね。
アイジーさんとの繋がりも、まさにそう。特に気持ちで繋がれることが出来ているなあと感じます。
園づくりと家づくりの共通点
塚本さん 私は、生きていくことって「思い出作り」だと思ってる部分があるんです。だからベンチ造りを通して、アイジーさんのお客様、そのお子様の思い出として、フラワーパークが存在出来ることが本当に嬉しいです。
佐原さん 僕たちも嬉しいです。公共の場所に自分たちが関われることって、あまり無いと思うんですよね。ベンチという手段をきっかけに、こうやって塚本さんと話しさせていただくことも出来ていますしね。お客様から「子どもが遠足に行って、自分のベンチがあったって自慢して喜んでたんだ」っていう話を聞くだけで、生きててよかったなあと心から感じます。
塚本さん まさに思い出作りですね。もう一つ、一番大切なことは、「手をかける・心をかける・時をかける」なんです。そこに素晴らしい思い出ができるんですよ。手もかけない、心もかけないところに楽しい思い出や愛情は生まれないんです。だからベンチを造る行為、それを届ける行為、それを誰かが使ってくれる喜び…こういうことがとても大切だと私は思います。手、心、時をかけてはじめて完成するんです。
芥川さん 僕たちの家作りも同じですね。家は一つひとつの手仕事で出来上がるので、心の込め方ひとつで品質も変わってきます。暮らし始めたオーナー様が喜んでくださることが、また次の家づくりの活力になっています。
佐原さん 「地球品質」という、僕たちのコンセプトにも繋がりますが、手や心・時をかけたからこそ、そこに愛着が生まれると思っています。愛着があることが、豊かな暮らしや、幸せを感じられることに繋がると思うんですよね。最初に塚本さんのご講演を聞かせていただいた時に、本当に我々と同じ思いだと思いました。だから「ベンチが足りない」と仰られたのを聞いた時に、そこをサポートすることで共にいい形での関わり方が出来るんじゃないかと閃きました。
塚本さん 一度だけの繋がりも多いと思うんですね。もちろん、一度のご縁も一期一会ですので、素晴らしいことで有難いことだと思うんですけど、それが持続するっていうのはもっと有難いし、素晴らしいです。
佐原さん 実は、社員が一番嬉しそうなんですよね。自分の仕事が公共や社会的なものに繋がって、しかも喜ばれていることが嬉しいと感じてくれています。一責任者として、そこが最もありがたいなと思ってるので、今後も継続して取り組んでいけたらと思います。
芥川さん まずはスツールを用意しなきゃですね!(笑)
理想のフラワーパーク
取材班 塚本さんが目指すはままつフラワーパークとは、どういった植物園なのでしょうか?
塚本さん まず、はままつフラワーパークは日本で最も美しいフラワーパークになったと自負しています。これからもその美しさが持続するよう努力をいたしますが、でも一年中美しいっていうのは無理なんですね。やはり一番美しいのは3月、4月、5月。もっても6月の前半ぐらいなんです。どの植物園・フラワーパークも、この4か月で1年分の利益を出すぐらいやらないとだめなんです。雨が降る・暑い・寒いなどの天候状況に影響されますし、本当に花の見ごろでないとお越しいただけない、というのがフラワーパークだったんですね。
でも私はそうではなくて、一年中、ご自分の身体と心の健康管理の場に使っていただきたいと思ってるんです。
週に一回来る愛知県のお客様とお話をしていた時に、いきなり涙をこぼされたんですね。どうしたの?って聞いたところ「お父さんの介護が始まって、私が介護するととっても喜んでくれるから他の人に任せられなくて、自分が頑張っちゃう。ちょっと疲れたから、今日はフラワーパークで心の洗濯しようと思ってきました。またこれで明日からお父さんの世話ができます。」って仰られたんです。そうやっていろんな人が心も身体もリフレッシュする場としてご利用いただいているのが嬉しかったです。
塚本さん 花見頃である3~6月以外の役割が、まさにここだと思うのですね。綺麗な時だけではなくて、自分の庭のようにお散歩いただくことで健康管理ができるんだと。そして、心のケアの場所でもあるためにはどうするかというと、隅々まで心の行き届いた園を維持するっていうことなんですよ。
はままつフラワーパークが求められているのは、草だらけ・藪だらけの野山ではないんですね。もっと手が行き届き、人様の心が優しくなるような場所なんです。そのためにも草取りはもちろん、細部まで徹底的に手を入れます。花の空間ではなく、手が行き届いた”緑地の空間”を作り上げることによって、お客様は心を解放されると思っています。子どもや大人、全ての人がほんの少し生きる力を得る場所としてお役に立てる場所になりたい。これが、私の目指してきたフラワーパークです。
芥川さん フラワーパークさんは、目的の場所へ行く途中の道すらも楽しめる空間だと思いました。
佐原さん フラワーパークさんに行って桜やチューリップ見に行っても、もちろんそこは美しいんだけど、その下にある芝生が美しいと感じます。あそこに一番手間がかかっているんだろうなと思っていました。
塚本さん そうなんです。まさに「〇〇が綺麗なフラワーパーク」ではなく、全てが心地いい空間を目指してやってきました。家だってきっと同じですよね。家は巣の役割りを果たすので、傷を癒し、体力を戻し、エネルギーを蓄える癒し空間が家なのではないかと考えています。
佐原さん 家も同じですね。細部までこだわった空間だからこそ生きる力を得られると思います。それを語らずして伝わってくるのが本当にすごい。頭が下がりますし、見習わなければいけないと感じました。これからもはままつフラワーパークと共に、手と心と時をかけた空間づくりに努めていきます。
ベンチや四阿を造り、寄贈することは、一つの手段でしかない。手をかけ、心をかけ、時をかけた時に生まれる愛着や喜びが、そこに携わる人の思い出を彩り、更には一つのフラワーパークの未来を創ることにもつながる。これからも住宅建築を通して、心を行き届かせた空間づくりを続けていくのは勿論のこと、そうした企業活動を続けながらフラワーパークさんの空間づくりにも携わっていきたい。