【男性育休インタビュー】その時にしか見られない子供の成長を見守る。

DATE : 2022.11.07
目次
2022年10月1日より「出生時育児休業(産後パパ育休)」制度が新設された。男性社員に育休の取得を義務付ける訳ではなく、企業側から従業員への取得促進が義務化となったが、アイジーコンサルティング内においてはもっと前から男性社員が育児休業を取得する事例はあった。しかし『出産前後の1週間程度』が多く、数か月に渡る取得の事例はなかった。

そんな中、約6ヶ月間の育児休業を取得し2022年10月に復帰した男性社員、建築事業部アイジースタイルハウスの山口さんに、育休期間中の過ごし方や長期取得に至った経緯などを伺った。
この記事のPOINT
  • 育休取得を打診した時の、上司の反応は意外だった。
  • 長期間の育休取得を目指して、自分なりに準備を進めてきた。
  • 育休を取れるような環境整備は、会社の役目だと考えている。
  • 取りたい人は取って欲しい。今しか見れない子供の成長がある。
この記事に登場する人
山口朋樹
株式会社アイジーコンサルティング
建築事業 営業企画主任
2015年新卒入社。建築事業アイジースタイルハウスの、唯一の営業企画として従事。料理が得意で、アイジースタイルハウスのサイトにて料理ブログを掲載中。

6ヶ月間の育休を取得した経緯

前向きな反応で、正直びっくりしました(笑)
取材班

育児休業はどれくらいの期間取得されましたか?

山口さん

約6ヶ月間ですが、育休と有給休暇を組み合わせたので実際には6ヶ月半ほどですね。出産予定日が3/15で、3/17~27まで有給を取得し、その後一日だけ出勤し公休日を経て、3/31から9/31までを育休としました。

取材班

アイジーコンサルティングとしては過去最長の育休期間ですね!最初から6ヶ月間の育休取得を目指していたのですか?

山口さん

いえ、6ヶ月ではなく3ヶ月間は休みたいと考えていました。でも「もっと短くならない?」と言われる可能性もあるなと考え、6ヶ月で打診したんです。そしたら「全然いいよ!」と快諾いただいて、逆に驚きました(笑)

取材班

育休取得について考えるきっかけは何でしたか?

山口さん

もともと取得するつもりでいたんですよ。それこそ学生時代から考えていました。もしパートナーが出来て、子供が生まれるなら、育休は絶対に取ろうと。

取材班

なんと、学生時代から!なぜその頃から育休を取ろうと思ったのですか?

山口さん

学校で家庭科の授業とかありますよね?そういう場で家庭の事を考えると、子供が生まれたら大変だなと思うようになったんです。自分は仕事に行って一生懸命働いた後に、家に帰ったら家事や育児をして一日が終わる。それはとても大変だし、私だけじゃなくパートナーになる方もきっと大変だろうから、特に大変な出産直後はちゃんと休みたいと思いました。

優先順位は低いですが、就活の時には育休制度があるかどうかも確認しましたね。面接で「男性も育休を取っていますか?」って聞いていました。当時はまだ男性の育休取得が取り沙汰されていない時代でもあったので、制度はあるけど取っていないと答える会社がほとんどでしたね。取っていても有給でちょっと休む、といった感じでした。

取材班

就活時代からそこまで明確に未来を見据えているのが凄いですね。

山口さん

私自身、将来を考える時間がいっぱいあったんです。商業高校で会計科に入り、大学も経済やお金の勉強をしていたので、授業の一環で人生設計を立てる機会もありました。そういう経験から、この先どういうライフイベントがあって、そのためにいくらお金が必要で、と考える事が身についていたので、もし子供を授かるなら今のうちから何を準備していけば良いのかが見えていた方だと思います。

取材班

続いて、育休を取得すると伝えた時の周囲の反応はいかがでしたか?

山口さん

妻は、育休が取れるという事自体に驚いていました。私の両親は、どちらかと言うと心配している様子でしたね。「そんなに長い期間、仕事を休んで大丈夫?」と。両親は若いうちに結婚して私を産んでいるので、きっと苦労したんだと思います。いわゆる稼ぎ時にそんなに休んで、キャリアやお金のことは大丈夫か?という心配があったようでした。大丈夫だよと伝えて安心してもらいました。

会社に打診した時は、事業責任者でもある常務の立田さんは「いいじゃん!取りなよ!」と。部長の林さんは「取った方がいいよ、自分が大変だったから。」って、今まさに小さなお子さんが居る先輩として快諾してくださいました。上司の佐原さんや小林さんも「新しいね!いいじゃん!」と前向きな反応で、正直びっくりしました(笑)

取材班

反対されるかも、という不安はありましたか?

山口さん

先ほども言った通り、「そんなに長く取るの?もっと短くしない?」と頼まれるかもしれないな、とは思っていました。思いがけず前向きな反応で、更に6ヶ月も育休がとれて嬉しかったです。

取材班

会社としても、6ヶ月の育休取得は初めての例ですし、恐らく不安もあったとは思います。でも、休むと決めたならその分周りがフォローしてやるしかない、と考えたかもしれないですね。

山口さん

そうですね。特に営業企画の仕事は私しかやっていないので、誰か一人に引き継げるわけじゃないんですよね。結果的に、営業チームにそれぞれ分散して引き継いでいきました。

取材班

ちょっと突っ込んだ質問かもしれませんが、自分が居なくなっても問題なく進んでいる状態を見て、「同じ仕事に戻る必要があるのかな?」という不安にはなりませんでしたか?

山口さん

確かに、営業企画の仕事は割り振って問題なく進んでいるので、自分が居なくても良いとは思いました。でも、自分の価値を活かせる仕事はまだ沢山あると思っているんです。例えば、いくら割り振れたからといっても専任の担当者じゃないので、スピード感は失われますよね。そういう意味で専任の担当者として自分が携われば、もっと早く様々な課題解決や営業支援が出来るかもしれません。

あとは、組織全体を見渡してみると営業以外の部署でも様々な課題にぶつかっているんですよね。それこそ教育体制を整えたり、業務フローを構築したり、そういった部分に着手していくのも私の役目だと思っています。

取材班

なるほど、自分の強みを活かす土壌はまだ沢山あるという点が、復帰の不安を無くす事にも繋がっているのですね。

復帰後の山口さんを迎え入れる、アイジースタイルハウス名古屋スタジオの様子

育休期間中の過ごし方

妻には、健康でいて欲しいという事だけ要求しました。
取材班

山口さんが6ヶ月の育休を取ったことは、会社全体にいい影響を与えたのではないかと感じます。それまでも男性が育休を取る事例はありましたが、「取得する・しない」「するならこれくらいの期間取得したい」といった事も”遠慮せず打診して良いんだ!”という雰囲気に変わったと思います。

山口さん

そうなんですね。直近でも後輩の男性社員が育休を取得しているのを見て、良かったと思いました。

取材班

育休期間中は、どのような事をして過ごされましたか?

山口さん

基本的には奥さんのメンタルケア、子どものお世話、家事全般ですね。これはまあ当然として、あとはお互いの親族によく会いに行ってました。月に一回は行って、抱っこしてもらって写真撮って、といった交流は続けました。今は頻度高く行けないため、テレビ電話をしていますね。

取材班

育休中の分担については家族で話し合われたのですか?

山口さん

というよりも、子供が生まれる前から「出産って大変だよね」といった話をよくしていたんです。

ネットで調べると、子供を産む母体の負担は”全治二か月の交通事故並”だという記事も見かけました。それだけ大変な事だというのはお互い知っていたので、私が妻に要求したのは「健康でいなさい。食事はちゃんと食べなさい。」これだけだったんですよ。家事全般や子供のお世話も自分で出来るので、ただただ健康でいて欲しいと伝えました。

妻の身体の調子が良ければ一緒に家事をしたりすることもありましたが、基本的には朝起きてご飯を作って、子供にミルクを飲ませて、妻を起こしてご飯を食べさせて、昼寝してもらって、みたいな生活でした。

取材班

主夫として生活されていたんですね!お出かけなどもされましたか?

山口さん

外出できるようになってきたら、子供向けの生演奏コンサートや動物園・水族館など、子供の情緒教育に良さそうな場所に行きました。

毎日基本的な家事や育児をして、その合間にちょこっと散歩行くといった生活が一週間のルーティンでした。今住んでいる家の近くに妻の実家や親戚の家があるので、散歩しがてら親戚の家に顔を出していました。

取材班

奥様一人ですと、その散歩すら行けないくらい疲弊することもあると聞きますよね。ご主人が家に居て一緒に家事育児をするという事は、本当に心強いと感じました。

山口さん

そうですね。あとは、家族で過ごすことと同じように、お互いが一人で過ごす時間も大切にしました。例えば妻は友人や家族とランチに行ったり出かけたりもしましたし、逆に私が外出することもあります。やはり”ずっと一緒”も大変なので、お互いに一人の時間を確保し好きな事をして、息抜きもしましたね。

取材班

復帰に向けて何か準備したことはありますか?

山口さん

5ヶ月目くらいからトレーニングセンターに行って身体を動かしました。通勤が無くなり身体を動かす時間も減ったので、体力づくりとダイエットのためですね・・・(笑)

休みは全力で休みたいタイプなので、あまり仕事のことは考えないようにしていました。
本を読んだりオンラインセミナーを何回か視聴するなどして、仕事に関するインプットはしましたが、そこまでがっつりやり込んではいないです。会社携帯やパソコンなども全て返却していましたし、会社で起こっている情報は私のところに一切入ってきませんでした。時折社員と食事に行って状況を聞くくらいでしょうか。

せっかくの育休なので、家族との時間を大切にすることだけを考えましたね。あとは普段休みが合わない友人と会えたことも、気分転換になりました。

取材班

10/1から復帰されて約1ヶ月経ちましたが、仕事と家庭のバランスはどうなりましたか?

山口さん

バランスは取れている方だと思います。私自身が仕事とプライベートをしっかり分けたい性格なので、そこはもう容赦なくスパッと切り替えています。残業もほとんどせず定時で真っ先に帰っていますし。

復帰して一番悲しかったのが、子供と一緒に過ごす時間が一気に減ることなんです。朝、子供が起きて顔を合わす時間、帰って寝るまで過ごす時間、全部合わせても3時間程度なんです。6ヶ月間ずっと一緒に居たのに、今となっては少しの時間しか触れ合えないことが一番寂しいです・・・。

取材班

山口さんを昔から知っている私としては、その感想は少し意外でした!(笑)お子さんが大好きなんですね!

山口さん

そうですね、本当に可愛いです!毎日癒されています。通勤時間すら勿体ないと感じるようになりました(笑)

お子さんの様子を笑顔で語る山口さん

育休に入る前の事前準備

男性が育休を取得するためのフォローは『会社の役目』でもある。
取材班

充実した育休期間を過ごされたと感じましたが、休みに入る前に「これをやっておけば良かった」と後悔したことはありますか?

山口さん

無いです!準備万端でした!具体的に、まずは子供を迎え入れる準備、続いてお金の準備、3つ目に互いの親族と子供の成長を見守る準備、といった順番で進めていきました。

1つ目の「子供を迎え入れる準備」としては、よくある育児雑誌に載っているような準備リストを元に進めていきました。必要なものを買ったり、あとは子供の物が増えても収納に困らないよう家の中を整理したり…この事前準備のおかげで慌てずに出産を迎えることが出来たと思います。

お金に関しては私の得意分野でもありますから、出産にかかるお金、出産後の生活にかかるお金をしっかり試算して、計画的に貯蓄していきました。

親族と子供を見守る準備として『山口家DX戦略』を進めたんですが、これが結構良かったです!子供の写真をいつでも共有できるアプリを導入したことで、両親も一緒に子供の成長を見届けられるので、大変喜ばれましたね。

取材班

なるほど、事前準備をぬかりなく実施することで、出産前後を安心して過ごせたのですね。仕事をお休みするという点で何か準備はされましたか?

山口さん

私の仕事は短期よりも中長期に進行する業務が多いので、そのスケジュールをメンバーに共有するなどの準備はしました。あとは、出産前の2月・3月は緊急性の高い仕事を請けないようにしました。出産1ヶ月前は何が起きるかわからないと思っていたので、出産に関わる緊急時に誰にも迷惑をかけず、家族を優先できるようコントロールしました。

でもこれは私一人が準備したわけではなく、面談で上司の林さんや小林さんとすり合わせをしたから実現出来たことなんです。秋ぐらいから、出産に向けて仕事の量を減らすことや、今請け負える仕事・請け負えない仕事について整理して、上司含む周囲の方々の協力あってスムーズに育休へ入れたと思っています。

取材班

自分ではコントロールできないと考えている社員も居ると思うので、山口さんのその経験と周囲のフォロー体制は心強いですね。

山口さん

私は、男性が育休を取得するためのフォローは『会社の役目』だと思っているんです。例えば、弊社のメンテナンス事業でお客様の点検に行く仕事をしている社員もいますが、家族に何かあった・子供が生まれる、などの緊急事態において仕事へ行っている場合じゃないですよね。そこで変な負い目を感じる必要は無いと思うんです。代わりに点検に行ける社員を派遣するなどは、会社が対応する事なんです。

仕事の成績や成果を減らしたくない・でも家族との時間も大切にしたい、と望むことは間違っていないと思います。でも両方100%全力投球は難しいので、「自分が今このタイミングで何を大事にしたいか?」を十分に考え、それを上司や仲間と共有する事が、最も大事な事前準備かもしれません。

私は家族が一番大事だったのでこのような選択をしましたが、そうじゃない人に「育休を絶対に取りなさい」とは思いませんし、言うつもりもありません。でも、人それぞれ違う「大切にしている事」を互いに理解し、尊重し合える風土・環境であって欲しいと思います。

取材班

大事にしたいことの優先順位は人それぞれですしね。最後に、これから育休取得を考えている社員の皆さんにメッセージをお願いします!

山口さん

育休を取りたいと考えているなら、遠慮せず取って欲しいと思います。もし可能ならば3ヶ月以上のお休みを取って欲しいです。
最初の3~4ヶ月の子どもの成長って、本当に驚くほど速いんです。最初はミルクを飲んで寝るくらいしか出来なかったのに、だんだんと意思表示をしてきたり、抱っこして欲しいと手を伸ばしたりするんです。子供ってずっと成長していくと思いますが、そのタイミングの成長はその時しか見れないと思うので、育休を取って家族で見守る時間にしてほしいですね。

あとは、そんなに不安がらず上司に相談をして良いと思っています。育休を取得するに辺り必要なフォローをしてくれるのが、アイジーコンサルティングの良い所だと思うので。

この記事のまとめ

アイジーコンサルティングとして、最も長い育児休業を取得した男性社員の山口さん。普段の仕事ぶりからも分かるように、徹底した準備力や段取り力が育休前準備にも反映された事を伺える。そんな山口さんがしきりに言っていたのは「自分一人だけではできなかった。上司の前向きなフォローがあった。」ということ。まだまだ珍しい扱いをされがちな男性の育休取得を、気兼ねなく相談できる上司が居たり、安心して仕事を割り振れる仲間との信頼関係を築くことも重要であると感じた。「人を大切にし続ける」を信念に持ったアイジーコンサルティングとして、個人が大切にしている事を同じように大切に出来る会社であり続けたい。

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