「性能」の先にあるものとは? ~「地球にも人にも優しい家づくり」コンテストの受賞

DATE : 2022.06.06
目次
2022年2月、浜松市地球温暖化防止活動推進センター主催の「地球にも人にも優しい家づくり」コンテストで感謝状を頂いた。
受賞までにはどのような経緯があったのか、アイジースタイルハウス・佐原康隆さんにお話しを聞いた。
この記事のPOINT
  • 浜松市「地球にも人にも優しい家づくりコンテスト」とは?
  • 「地球品質」が目指す、forLONGな暮らし方とは?
  • アイジースタイルハウスは、なぜ「断熱性能」にこだわるのか?
この記事に登場する人
佐原 康隆
株式会社アイジーコンサルティング
アイジースタイルハウス
マネージャー
アイジースタイルハウスのプロデューサー達をまとめている。
入社当時はメンテナンス事業部で点検・施工を担当していたが、2006年の新築事業立上げに参加。メンテナンスの知見を活かした提案でお客様から高い支持を頂く。
こう見えて植物好きで、コンセプトハウスやオフィス棟の植物をマメにお世話している。

「地球にも人にも優しい家づくりコンテスト」とは?

2022年2月に、「地球にも人にも優しい家づくりコンテスト」で感謝状を頂いたということですが、このコンテストはどういう主旨だったのですか?
佐原

浜松市地球温暖化防止活動推進センター主催のコンテストで、低炭素な住まいを広く浜松市に普及させることを目的としたものです。

取材班

「低炭素な住まい」というと、最近よく聞く「ZEH(ゼッチ)」とかですか?

佐原

ZEHはもちろんですが、今回のコンテストでは「なるべく設備に依存しない」という考え方が反映されています。
このため評価項目は、建物本来の性能として、
・断熱
・気密
・日射取得
を重視されているという特徴があります。

このコンテストに応募しようと思ったきっかけは何だったのですか?
佐原

応募締め切りの1週間前に、浜松市地球温暖化防止活動推進センターのセンター長から「応募しませんか?」という打診があったんです。
聞いてみると、私たちが浜松市のCSR表彰を受けていたことがきっかけで、アイジースタイルハウスのWebサイトをご覧になったそうです。そこで、断熱性能にこだわっているし、性能値も明記していることから、声をかけていただきました。

取材班

ということは、このコンテストに応募するために何か特別に取り組んだわけではない・・・?

佐原

そいうわけではないです・・・笑
応募締め切りが迫っていましたので・・・設計メンバーに話をすると「そういうことなら」と、忙しい中時間を捻出してくれ、1週間で応募書類をまとめてくれました。
なので、きちんと評価を頂けて本当によかったです。

設計チーム
応募した物件は「コンセプトハウス」とのことですが、なぜ実際のオーナー様の物件ではなく、「コンセプトハウス」にしたのですか?
佐原

コンセプトハウスは、名前のとおり、私たちが家づくりを通して提供したい暮らし方のコンセプト「地球品質」を体現する場所です。「地球品質」という暮らし方のコンセプトが、「住宅性能」という切り口でもきちんと評価されることを証明しようということで、あえてコンセプトハウスで勝負しました。

実は、実際にオーナー様へ提供している住宅と比べて、性能値は高くないんです。
特に、玄関のドアを観音開きにした関係で、C値(気密性能の指標)がちょっと・・・正直に書類提出するしかなかったので、無事に審査を通過できてよかったです。

<実際に提供する住宅の基準>
UA値(断熱性能の基準) 0.46
C値(気密性能の基準) 0.8

<コンセプトハウス>
UA値(断熱性能の基準) 0.46
C値(気密性能の基準) 1.0

「地球品質」と「性能」の関係とは?

「地球品質」は、提供する住宅の品質や性能を定義するものではないのですか?
取材班

モデルハウスの性能や仕様を実物より高くするという話はありそうですが、その逆という話は初めて聞きました・・・笑

さきほど、「家づくりを通して提供したい暮らし方のコンセプトが地球品質」だと仰いました。「地球品質」は、提供する住宅の品質や性能を定義するものではないということですか?

佐原

もちろん、品質や性能は定めています。

たとえば、耐震性能については、
2016年の熊本地震で震度7が2回発生したという教訓から、許容応力度計算を全棟必須にしています。これは、「地震がきても住み続けられる」性能を、根拠をもって実現するための取り組みです。

また、使用する木材については、
国産材の活用が進まなかったり、日本の林業が根深い課題を抱えているのは、森林から製材され建築材料になるまでのプロセスに課題があるからだと分かったことをきっかけに、かかわる人全員にとって持続可能な国産材の生産・利用を目指し、「JAPAN WOOD PROJECT」に取り組んでいます。

そして、断熱性能については、
温室効果ガスの排出削減という国際的な課題はもちろんですが、家計レベルでも電気代の上昇の影響がでてきています。そこで、「エアコン1台で快適に過ごせる」ために、HEAT20のG2グレードとして断熱性能をUA値0.46クリア、気密性能を0.8以下を基準にしています。また、太陽光発電も積極的に提案し、自家発電・自家消費できる暮らし方を提案しています。

このように、品質や性能を明確に定めていますが、「地球品質」はこれで完成というものではないと考えています。
「社会に暮らす人にとって何が一番よいものか?」と問い続けること・・・
今の人にも、未来の人にもハッピーであること・・・

取材班

言い換えると、性能値や仕様の基準ではなく、「スタンス」を基準にしているということでしょうか?
「地球品質」な暮らし方の実現に向けて、今できるベストな技術や仕組みで応えていくというような。

佐原

そう言えるかもしれません。

たとえば今回の断熱性能に関していうと、
HEAT20には、G2グレードの上に、G3グレードという更に断熱性能の高い基準があります。技術的にはG3グレードにできますし、実際にG3グレードの住宅をご希望されるお客様に、そういった仕様の住宅をご提供したこともあります。

しかし、 G3グレードの家でもエアコンは使うんです。
もしかしたら、G2グレードの家よりもエアコンを使う日数が数十日短いかもしれません。それによってエアコン代がいくらか安くなるという経済的なメリットがあるかもしれません。そのために数百万円コストアップしたとして、どのくらい「暮らし方」が変わるのか、理想の暮らし方に近づけるのかというと、少し疑問が残ってしまいます。

「節約」という考え方から開放され、「省エネルギーで豊かな暮らしができる」ということ自体に価値を感じていただきたいなと。
快適な暮らしと地球環境保全が両立できていることが、断熱性能における地球品質だと考えています。

「断熱性能」への社会的要請が変化するなかで、スタイルハウスが変わったこと・変わらなかったことは?

2006年の事業立ち上げと今を比べて、変化はありますか?
取材班

アイジースタイルハウスは、2009年に立ち上がりましたが、当時から断熱性能にはかなりこだわっていたと思います。
2009年というと、今ほど住宅の断熱性能について社会的な要請が高まっていない時期ですが、当時から今を振り返って変わった点・変わらない点などありますか?

佐原

まず、変わっていない点としては、「建物の長寿命化」や「お客様の不満・不安がない家」を目指すときに、断熱性は必須だということです。

会社もメンテナンス事業を祖業にしていて、私自身ももともとシロアリ防除や住宅点検業務をやっていた経験があります。その時、建てたあとに不満・不安があるお客様と数多くお会いしました。
「不満」は、家が快適ではないということ。
「不安」は、「これからどれだけメンテナンスコストがかかるのだろう?」と、家を持ち続けることへポジティブな気持ちを持てないこと。

新築事業を立ち上げるからには、こうしたお客様を1人でも減らしたいという想いがありました。なので新築事業を「ライフプラン事業」と位置づけ、住宅の性能・仕様から資金計画まで、不満・不安を解消するために必要なことはすべて取り組みました。

「断熱」は、壁内結露を防いで長期間性能を維持できるかどうかが重要でした。
そのために、外張り断熱+充填断熱の2重の断熱層を設けることや、充填断熱にセルロースファイバーを採用することは、立上げ当初から変わらず取り組んでいることです。

取材班

当時から断熱性能にこだわっていたのは、メンテナンス事業を母体としているからこその信念だったんですね。
その後、断熱性能を高めることが社会的に当たり前になっていく中で、どのような変化がありましたか?

佐原

当初は、「家の長寿命化」ということを目的としていました。
断熱性が注目されるようになり、断熱性は住まう人の健康に大きく影響するということが海外や国内の研究で分かってきたことで、「住まう人の健康」という視点も加わりました。
そして、法改正などを経て高性能・スペックが重視されるようになり、気付くと私たちも「性能の高さ」を競うようになっていました。

ここでふと、「性能さえ高いものを求めていけば「いいもの」なのか?」という問いを持ったのです。

熊本の震災、高齢化、コロナ禍、電気代の上昇、脱炭素社会への要請・・・
いろんなできごとを通して、自分たちの存在意義と向き合い、家づくりを通して社会問題を解決できるのでは。それが、自分たちの社会的役割なのではないかと考えるようになりました。その結果、アイジーらしいforLONGな暮らし方のコンセプトとして「地球品質」を提供していこうと決めました。

取材班

なるほど!先ほどの「地球品質」の考え方の裏側には、そうした背景があったんですね。

今日は2022年6月5日ですが、今まさに足元でも、世界情勢の不透明さによって原材料価格の高騰や円安が進行していますし、脱炭素や脱プラスチックの課題もますます深刻になってきています。この先どのように「地球品質」を通して社会的な役割を担っていきたいとお考えでしょうか?

佐原

自分たちの世代だけでは成果が見えきれないかもしれません。
しかし、未来の財産になるという視点で、1人1人が考えてベストな答えを出し、取り組みを実行していくことだと思います。

この記事のまとめ

「地球にも人にも優しい家づくりコンテスト」は「断熱性能」に関する表彰だったが、アイジースタイルハウスは性能の先にある「暮らし方」を重視している。

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