今年もやります、N.P.O.プレンティアの森の活動! ~森を育て、人を育む~

DATE : 2022.06.14
目次
アイジーコンサルティングでは、2009年10月から「N.P.O.プレンティアの森」の活動に協賛し、浜松市天竜区の市有林の整備・植樹活動に取り組んでいる。
コロナ禍で社員を巻き込んだ活動ができなくなっていましたが、2022年7月、2年ぶりに社員参加でのイベントの開催が決まった。
そこで今回は、N.P.O.プレンティアの森 代表の水野博さんと、アイジーコンサルティング 総務部の森下真彦さんにお話を聞いた。
  ※N.P.O.プレンティアの森のWebサイトはこちら
この記事のPOINT
  • 森づくりをとおして「持続可能な企業活動」に目を向ける
  • SDGsは企業文化、社員1人1人から自然と香るものであれ
  • 哲学が人生を豊かにする。正解のない問いに向き合える人材を育もう
この記事に登場する人
水野博
N.P.O.プレンティアの森 代表
マーケティング・メディア業界でご活躍されたのち、1998年「プレンティアの森」活動を立ち上げ。浜松市を中心に自治体や地元企業の協賛という形で、里山での森づくり活動を推進している。
最近はバーボンに凝っている。
森下真彦
株式会社アイジーコンサルティング 総務部 課長
アイジー入社後、メンテナンス事業や耐震事業に携わる。2007年より総務の責任者として、CSR活動を推進してきた。今ではプレンティアの森活動の運営にも参画。
最近はソロキャンプに凝っている。

プレジャー×ボランティア=プレンティア!

「N.P.O.プレンティアの森」活動は、これまでどのように行われてきましたか?
取材班

「N.P.O.プレンティアの森」の活動は、どういった経緯でスタートしたのでしょうか?

水野

活動を開始したのが1998年、第一回目のイベントを開催したのが1999年です。
2000年から「企業協賛」という形で、地元企業との連携を開始しました。

当時はCSRという考え方はまだ浸透しておらず、企業の自然環境への意識も薄くて、「森づくり」なんて普通に企業活動をする中では話題にも上がらない時代でした。
なので「企業の力を自然へ向ける」という、今でいうCSRとしての森林保護活動としては、日本ではじめての取り組みだったのではないかと思います。

森下

「プレジャー」と「ボランティア」を組み合わせて「プレンティア」なんですよね。
企業向けに、「社員の福利厚生として、森でボランティア活動をしてみませんか?」ということで声をかけていただいたと記憶しています。

取材班

アイジーが、N.P.O.プレンティアの森の活動に参加するようになったのは、いつ頃でしたか?

森下

2009年10月からです。
この頃には、企業の社会貢献活動やボランティア活動が盛んに行われるようになっていました。なので「森の再生」という主旨には賛同していましたが、正直なところかっこつけというか、会社として何かCSR活動をやらねばならないという理由の方が大きかったです。

取材班

アイジーとしては、どのように活動に取り組んできましたか?

森下

コロナ禍になる前までは、春に新入社員研修の一環として森での施業を。夏から秋にかけては社員が家族と一緒にリフレッシュできればと、イベントへの参加を呼びかけてきました。

社員の反応としても、イベントに参加するまでは渋っているのですが、一度参加してみると、お子さんが自然の中で遊ぶ姿をみたり、社員自身も自然の中で体を動かしたり、他の社員の家族との交流ができたりして、「参加してよかった」「また参加したい」という声を聞きます。
コロナ禍に入ってからは、なかなかイベント開催ができずにいましたが、2022年7月、久しぶりに社員にも呼びかけをしてのイベント開催を企画していますので楽しみです。

また、N.P.O.プレンティアの森の活動を継続する一方で、自社の事業として新築住宅を建てるようになり、森林資源を使うことに対する意識がより身近なものになっていきました。
2019年から「JAPAN WOOD PROJECT」という取り組みをしていて、「1本の木材を1軒の家で使い切る」デザインを軸に、天竜のスギやヒノキの生産・加工・流通にかかわる事業者同士のサプライチェーン構築を進めています。
こうした取り組みが社内から生まれたのには、森づくりの活動を通して、社員の自然環境への関わり方への意識が浸透していたことも影響しているのではないかと感じています。
※JAPAN WOOD PROJECTについて詳しくはこちら

過去の活動|丸太をチェーンソーで切る
過去の活動|植樹したどんぐりの苗

「N.P.O.プレンティアの森」の目的は、森づくりだけではない?

どういったきっかけで、森づくりにかかわるようになったのでしょうか?
取材班

水野さんは、もともと森にかかわるお仕事をされていたのですか?

水野

いえ、私は若い頃から一貫してマーケティング畑で仕事をしてきました。

取材班

え?マーケティングですか!?
どういうきっかけで、森づくりにかかわるようになったのでしょうか?

水野

私は大学卒業後に、広告宣伝の会社へ入りました。
当時の広告宣伝業界はまだ「デザイン」という感覚は薄く、広告の原稿を広告媒体に掲載するための仲介業といった感じで、感情の動きに注目したグラフィックなどの手法はマイナーでした。そんな中、私はデザインへの関心が強かったので、「共感してもらう」という軸で自分ならではの仕事ができないかと考え、浜松ではじめて「マーケティング」という言葉を使って広告やプロダクトデザインの仕事をするようになりました。
こうしてマーケットの創造を突き詰めていった結果、「メディアの周りに需要が生まれる」と考えるようになりケーブルテレビの会社を創業し、メディア系の会社も経営していました。

若いころは、人が喜ぶこと・感動することや、マーケティングといういわば軍師の立場での仕事にやりがいを感じていましたが、徐々にマーケティングのギミックに疑問を感じるようになっていきました。

人間は自然から搾取することで豊かになったが、自然が痛んでいる。これはフェアではないのではないか?
フェアで長続きする、人と自然の関係・人と人の自然の関係はどういうものか?
「企業の利益を上げることが、自然の利益にもなる」というマーケットを創りたい。
そんなマーケットを、自分が得意としている「人を感動させる技術」を用いて、何とか実現できないだろうか?

・・・と。今でいうSDGsやCSVの考え方ですね。
そんな想いが募って「エコマーケティング」というコンセプトでアイディアを出していった結果、「N.P.O.プレンティアの森」活動をしようと決めたというのが経緯です。

取材班

それで、冒頭にあったように「企業協賛」の形をとられたのですね。

水野

そういうことです。
「企業と自然」の関係と、「企業と社員」の関係は似ています。
「企業の利益にもなるし、自然の利益にもなる」という関係は、「社員の幸せにもなるし、企業の成長にもなる」という関係に似ていませんか?

マーケティング業界では、コーポレート・アイデンティティ(CI)といって、企業が何者であるのか?を定義する考え方があります。
CIを構築する時には、社員の自分自身のアイデンティティと、企業のアイデンティティを重ね合わせていく作業が不可欠です。
自分のアイデンティティを否定してしまうような仕事は、社員にとっても長続きしませんし、会社にとっても成果は出ませんからね。
また、社員が心身ともに健康で活力にあふれた日々を送るには、レクリエーションが欠かせません。労働力の再生産にとって非常に重要ということで、今の時代の常識になりました。

取材班

今でいう「ウェルビーイング」の考え方ですね。

森下

水野さんとお話しをしていると、「SDGsは当たり前のことだよね」という話題になります。アイジーとしても、創業時から「社会課題の解決を事業にしよう」という考え方が受け継がれてきているので、ことさらに改めてSDGsだなんだというよりも、ごく自然に事業の中にあるものとして活動しています。
こうした点でも、水野さんの活動や考えには、なにか通ずるものがあるなと感じています。

水野

もともとやっていたことでも、流行に振られるというのは、先駆者の宿命ですね。
流行に右往左往せず、自分たちのアイデンティティを貫くということは、「実行を伴っているか」「実態とみあっているか」ということだと思います。

外面(そとづら)ではなく、内面(うちづら)が大事ですね。
外面(そとづら)とは、会社がSDGs面をすること。最近では「グリーンウォッシュ」という言葉もありますが、見た目だけ取り繕うのは本質的ではありません。
内面(うちづら)とは、どの社員の顔を見てもSDGsの顔をしていることです。内に共感が生まれれば、自然と外ににじみ出てくる。「香り」といってもいいでしょう。SDGsは、企業文化として自然と香ってくるものでなければ本物ではないと考えています。
香らせるためには、一発逆転の起死回生を狙うのではなく、日々の積み重ねをするしかありません。私は昔ボクシングをしていたのでそれに例えると、右ストレートだけでなく軽いジャブを何発も打つことです。そのひとつが、森にきて汗を流すこととかですね。

取材班

お話しを伺っていると、「森づくり」という活動はひとつの手段で、社会と共存する事業を行う企業を増やしていくというビジョンに向かって取り組まれているのだなと感じました。

水野

私は、哲学が生活を豊かにすると考えています。

森下さんがときどき、「イベント参加者が、自宅でどんぐりの苗を育ててきてくれるが、森に植えると枯れてしまったり鹿に食べられてしまったりして達成感がない」という話をしてくれますが、私はそこから何を学ぶか、ということを大切にしたいと考えています。

苗を育てることだけを考えるのなら、
たとえば、物理的な対策として、鹿が入らないように電気柵を設けることもできますし、苗が育ちやすいように間伐を行ったり、化学的には土壌改良を行うこともできます。

しかし、苗を育てること以上に大切なことは、
枯れてしまった苗・食べられてしまった苗から、私たちが何を学ぶのかということだと考えています。
正解はありませんし、個々人によって感じるポイントも違うでしょう。

そうやって目の前のできごとと向き合い、自分の考えを深めていくことで、自分で考え行動できる人が育まれていくのだと思います。それが、哲学であり、生きざまを考えることなのではないかと思うのです。
私はN.P.O.プレンティアの森の活動を通して、哲学を後世に残していければと思っています。

アイジーさんは、このN.P.O.プレンティアの森の活動に長年協賛してくださっていますし、森下さんは活動全体の運営を担ってくれています。
ぜひ、アイジーさんにはこの文化を受け継いでいってほしいなと思います。
利害中心になりがちな手法の暴走を、信念・理念で止める。搾取ではなく、一緒に成長していく社会をつくるという決意をもって、事業活動に取り組んでいただきたいです。

この記事のまとめ

森づくりを通して、人を育て、企業を育てる。このことが、人を育てる企業に繋がっていく。
自然の生態系に一緒に乗っかるという考え。自然にとっても人間にとっても持続可能であることは何か。
正解はないからこそ、1人ひとりが考えていくことが大切。
そのきっかけのひとつが「N.P.O.プレンティアの森」の活動なのかもしれない。

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