仕事の面白さを現地で体感!高校生のフィールドスタディを開催しました-浜松西高等学校
- マイナビの総合探求学習プログラム「locus(ローカス)」を通じたフィールドスタディに参画。
- 企業と社会の関わりを「体感」「実感」しながら学ぶ機会を創出。
- 仕事は辛いことばかりじゃない。将来の職業選択の一つになれば嬉しい。
- 今回の出会いが素敵なご縁になることを願っている。
建築不動産事業部(アイジースタイルハウス)
営業
建築不動産事業部(アイジースタイルハウス)
工務
建築不動産事業部(アイジースタイルハウス)
設計
講義スタート!
セミナールームに一同集まり、自己紹介や会社紹介をおこないました。元野さん 私たちアイジーコンサルティングは、明治32年に創業しました。「目の前の人の暮らしを、自らの手で、より豊かなものにしたい」という信念に基づき、住宅メンテナンスから新築・リフォーム・不動産リノベーションをおこなっています。
創業当時、シロアリという白い虫のせいで電柱や橋がボロボロになっていく社会問題が発生しており、それらを何とか食い止めたいという思いからシロアリの駆除を行う挑戦が始まりました。そこから1世紀経ち、阪神淡路大震災を経験したことで、リフォームや地震対策を行う”耐震”へ事業領域を展開していきました。
リフォームや耐震の工事をご提案する中で、あることに気付きました。それは「家を建ててから20~30年で建て替えを考えている」ということです。実際、日本の住宅寿命は平均で27~28年と言われています。すごく短いですよね。
こうした課題意識から、「長持ちする家をつくり、守っていくことが次なる使命だ」と考えるようになりました。そして2006年に「長持ちする住宅で豊かな暮らしを実現する」というビジョンのもと、新築建築事業をはじめました。
現在では、「地球品質」というコンセプトを掲げ、機能的価値・感性的価値・社会的価値の3つの価値を両立するお家づくりに取り組んでいます。
足立さん ひとつの製品が皆さんの手元に届くまでには、様々な会社や人の手を介します。たとえば、原材料をつくっている方、製造している工場の方、工場から全国へ届ける輸送会社の方、そしてスーパーやコンビニといった小売業の方など、本当に多くの方が関わります。これを「サプライチェーン」と呼びます。
私たちアイジースタイルハウスが建てる住宅は木造住宅というもので、「木材」を多く使います。今日は「木材」に関するサプライチェーンのことをお伝えしようと思います。
「ウッドショック」という言葉をご存知ですか?コロナ禍の影響で、外国産材が輸入できなくなり、家が建てられないケースもありました。その対策として、代わりに国産材を使おうとする企業が激増し、国産材の需要と供給のバランスが崩れ、木材価格が高くなりました。
元々、日本の国産材の自給率は非常に低いと言われています。国産材の自給率は35%、建築構造材(住宅の柱や梁)の自給率だと3%しかありません。日本は国土の7割が森林で覆われている森林大国ですが、木材として使われているのは5%にとどまると言われています。
ここで、
「木材」のサプライチェーンがどうなっているか考えてみましょう。
林業・森林組合
山で丸太を生産する方々です。
↓
製材業
生産された丸太を、柱の形に加工します。
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乾燥加工業
柱の形に加工されたあとすぐに使えるわけではなく、乾燥させる必要があります。
乾燥加工を担当する企業さんもあるんです。
↓
木材販売業
乾燥させて製品になったら、販売を担当する企業さんが、地域の工務店へ販売していきます。
↓
住宅会社
それを私たち住宅会社が買って、家を建てていきます。
一般的には、このような流れになっています。各事業者さんの話を聞いてみると、この流れ(サプライチェーン)が一方通行になっていることで、それぞれに課題を抱えていることが分かりました。例えば、住宅会社がどれだけ木材を使うのか予測が出来ず、木を無駄に加工して余らせてしまうなどの課題です。こうした課題を目の当たりにし、林業から住宅会社までの流通がもっとスムーズに進むような新しいサプライチェーンを構築しました。それが「JAPAN WOOD PROJECT」です。
「JAPAN WOOD PROJECT」では、関わる各事業者たちが全員で集まって話し合う場を設けています。その場で木材の生産計画を立てており、計画的な伐採・加工ができるようになりました。また各事業者が抱えている課題を持ち寄って、解決方法を考えて実行できるようになりました。
コンセプトハウスを見て体感
続いて4グループに分かれ、EMOTOP浜松の商材スペースや、隣に併設されたコンセプトハウス(モデルハウス)を見学しました。学びを深める意見交流会
一通り見学を終えた後、セミナールームへ戻り質問タイムと意見交流会を開催しました。意見交流会では「天竜材を使って地域にあったら嬉しいものは?」というテーマに基づき、各テーブルごとに自由な話し合いをしてもらいました。フィールドスタディを終えて
今回参加下さった浜松西高の生徒さんより、手書きの感想文を頂戴しました。その中から一部抜粋してご紹介します。Aさん 「仕事は楽しくあるべきだ」という言葉が非常に感動しました。私は、仕事とは辛いからこそやりがいがあるものだと考えていましたが、それだけではないということを強く実感しました。
Bさん モデルハウスは、設計から使われる素材まで想像もしていなかった多くの工夫がされており、何度も感動させられました。これからは「暮らす」中での課題を見つける目を持ち、日常的に課題を解決する力をつけていきます。
Cさん 様々な問題を解決したいときや何かを決めるときは、多くの人と話し合うのが良いということを強く実感しました。社員の方々の仲の良さについて質問させていただいたときに「守るべきところは守っている」とおっしゃっていて、これが大切なことなのだと思いました。
取材班 フィールドスタディの運営、お疲れ様でした!実施してみての感想や、当日の運営で気付いたことなどを教えてください。
元野さん とても真剣に話を聞いてもらえて嬉しかったです。浜松西高の生徒さんは、いわゆる建築学科生のように将来建築業界で働くことを目指しているわけではなく、将来どんな道に進むのかをこれから考える方々が多いと思います。私たちのように建築業界で働くという選択肢があることを知ってもらえる機会になったのではないかなと思います。私自身も建築業界を目指して学生生活を送っていたわけではなく、実家の建築という機会を経てこの仕事に興味を持ちました。学生の皆さんが将来を考える上で、このフィールドスタディの経験を役立てていただけたら嬉しいです。
また私たちにとっても、学生の皆さんとの出会いが後の素敵なご縁に繋がるかもしれないなと感じています。学生の皆さんに「自分が住んでいる地域の工務店を知っていますか?」と聞いても、知らない人がほとんどだと思うんです。今日みたいな出会いが無ければ、アイジースタイルハウスのことも知られないままだったかもしれません。でも将来親御さんや知り合いが家を建てることになった時に、「そういえばあの時見学した会社が良い会社だったな」と思い出してもらえたら、オーナー様になるかもしれない。そう考えると、この出会いがもたらす可能性の大きさを感じられます。
足立さん 私は主にJAPAN WOOD PROJECTについて説明をしました。建築について学んでいる学生さんではないので、森林が抱えている課題や材木の流通過程については初めて知ることばかりだったそうです。地域の森林に興味を持ってもらう、いい機会になったのではないかと思います。あとは今後の職業の選択肢としてこういう仕事があることを知ってらえたのが嬉しかったです。私が高校生の時も、家を建てる人は設計と職人さんだけで、現場監督や営業といった職種があることすら知りませんでした。家を一棟建てるのにたくさんの職種が関わっていることを知ってもらえたので、今後の職業選択に役立てていただけたらと思いました。
過去に、学校に出向いて行う職業講話も担当しましたが、フィールドスタディは直接職場見学をするので、目で見て体感できることが多いんだなという気付きを得ました。コンセプトハウスに入った時に「木の匂いがする!」と感動している学生さんがいらっしゃって、スライドで説明を受けるだけでなく五感で体感できる方が学生さんにとっても記憶に残りやすいんだろうなと思いました。
個人的に面白いなと思ったことがあって。学生さんからすると、会社や働くことは辛いという印象があるみたいで、社員同士の仲が良くて会社が楽しそうだというのが意外だったそうです。辛いことばかりじゃないし、会社で働くことは楽しいことだと伝わって良かったです。
小西さん とにかく皆さんが色んなことに感動したり驚いているのが楽しかったです。「天竜材を使って地域にあったら嬉しいもの」のアイデアを話し合う意見交流会を設けたのですが、本当に自由な発想でたくさんのアイデアを出してくださいました。斬新なアイデアでありつつも、頑張れば実現可能なものだったり、ちゃんと地域の役に立ちそうなものばかりで、皆さんの発想力に驚かされました。
建築を専門に学んでいない学生さんが相手だったので、なるべく専門用語を減らしてかみ砕いて説明したり、学生さんにどうしたら理解してもらえるかを考えながら話をしました。建築や私たちの仕事に興味を持ってもらえることで、もしかしたら皆さんの将来の夢に繋がるかもしれないと思うとワクワクしますね。これからも職業講話やフィールドスタディなどを通して学生さんと触れ合う機会があると思いますが、一つでも多くの学びを持ち帰っていただけるように運営していきたいです。
建築業界という普段触れ合う機会の少ない職業体験を通して、職種の種類や仕事内容ごとの働きがいを学んでいただいた。どんな仕事に就いても「目の前のお客様を幸せにすること」や「仕事を楽しいと思える気持ち」は大切なことである。これからの人生の選択・決断の場において、今回の経験を役立てていただけたら嬉しいと感じた。
運営をした社員にとっても、自らの口で仕事内容や働きがいを説明することで、自身の役割りに誇りを持つ機会となっている。社員一人一人が向き合う場として、今後もフィールドスタディの取り組みに参画していきたい。