「興味・関心を惹き、学生が“未来”を考える機会になれば」静岡県立磐田西高校|フィールドスタディ
- 企業を通じて、社会課題を知る
- 地元の企業を知ることで地域に誇りを
- 生の声を聞くことで仕事の楽しさを感じてほしい
※ニックネームのため、文中の敬称は省略します
「おばさん」事件勃発
2人ともフィールドスタディへ、ようこそ。アイジースタイルハウス浜松の店長・佐原と申します。今日は、内田さんと大場さんがコンセプトハウスの案内やアイジーコンサルティングの社会貢献活動を紹介します。この3時間を通じて、「社会にはこんな仕事があるんだ」「浜松にはこんな企業があるんだ」ということを知ってもらえればうれしいです。いろいろと興味深い話が聞けると思います。じゃあ、みんなの自己紹介を始めようか。
佐原さん、ありがとうございました。私は大庭詩奈です。営業の仕事をしています。趣味はバドミントンとスノーボードです。入社して半年ほどなので、佐原さんや内田さんよりも2人と年齢が近いので、今日は女子高生だった頃を思い出して、2人と接しますね。好きな食べものは焼肉です。
同じく営業の内田詠士です。実年齢より若く見られることが多いんですけど、今年34歳……。
えっっっ!
やった(笑)。趣味は植物を愛でることで、このお店にある建物は全部僕が管理しています。好きな食べものはシラスです。
佐原です。さっきね、内田さんが植物好きと言っていたけど、それは僕の影響なんです。というわけで、僕も植物が好きです。ほかにも子どもたちといろいろなところへ遊びに行くのが、娘と息子ができてからの楽しみです。好きな食べものは海鮮です。じゃあ、2人もお願いできるかな。
えっと、じゃあ、私から! 私はありちゃむって言います(※仮名です!)。趣味は洋楽とK-POPを聴くこと、ワッペのスクールバッグを集めることです。
ワッペ……ワッペン?
ワッペンじゃない、ワッペ! ワッペです。ワールドペガサスっていうブランドです。
知らな〜〜い!
あとで調べてみてください! 好きな食べものはイクラです。今日はよろしくお願いします。じゃあ、次はこのまろ!
はい、このまろです(※もちろん仮名です!)。趣味は寝ることで、好きな食べ物はチョコとか甘いものです。
自己紹介ありがとう〜〜! じゃあ、早速モデルハウスの見学に行きましょうか。何かわからないことがあったら気軽に「内田さん」「大場さん」って呼んでくださいね。
えっ、おばさんじゃないですよ! そんな……!
……?
「おばさん」じゃなくて「大場さん」じゃない……?
ごめん、滑舌悪かったですね(笑)。大場さん、です。おばさんじゃない。
しゅん……。
わー、ごめんなさい!!!!
冗談です、大丈夫だよ!(笑)
じゃあ、私はここで退室して、あとは内田さんと大場さんにお任せします。今日は楽しんでいってください。この時間が、2人が進路を考える際に、少しでも役立つように願っています。
木がいっぱいのコンセプトハウスに驚嘆
ここがアイジースタイルハウスのコンセプトハウス、いわゆるモデルハウスです。私たちのつくるお家は普通のお家とはちょっと違うので、どんな風になっているんだろうというのを体感してもらうための空間になっています。さっそく、中に入りましょうか。
アイジースタイルハウスの家の特徴の一つに、1本の木からそのまま取り出した木材を使っている、というポイントがあります。コストを安くするために、ベニヤ版を接着剤で貼り合わせた合板というものを使っているメーカーもあるんです。
何が違うんですか?
いい質問! まず、接着剤を使っていないと、経年劣化でベニヤ板同士が剥がれたりすることがありません。あと、家の香りが全然違います。今、この家に香っているのって、全部木の香りなんですよ。いい素材を使って、長持ちする家をつくろうというのがアイジースタイルハウスのコンセプトです。
あとは、壁は壁紙ではなくて漆喰を使っているのも特長の一つです。漆喰は、石灰石を焼いて水を加えたものを主成分とする建築材料で、湿気を吸ってくれるというメリットがあります。なので、除湿器いらず! 機械に頼らずとも暮らしやすいお家をつくっているんです。
すご〜〜い!
ありがとう。あとは、ここ。実はエアコンが入っていて、冬は床下に暖かい風を送ることで床が暖かくなる仕組みになっています。見ると、クリーム色の断熱材が吹きつけられているのがわかりますか? そのお陰で、冷たい空気が入ってこないようにもなっているんです。だから、電気代が安い! 私たちのお家には、いろいろな工夫がなされているんですよ。
この板は、もともと捨てられる予定の木材だったんですけど、1本の木を余すところなく使おうというコンセプトで家を建てている私たちは、洗面台のカウンターとして有効活用しました。オシャレじゃないですか?
かわいいよね。
うん、すてき。
オシャレと言えば、天井のライトをよく見てみてください。小さい穴がたくさん開いていませんか? これ、実はBluetoothのスピーカーになっているんです。
え、すごい!
さっき、K-POPが好きって言っていましたけど、どのグループが好きですか?
えー、NMIXX(エンミックス)!
YouTubeにつないで流してみましょうか、ほら。
すご〜〜い!
これなら、いろいろな家事をしながら音楽も楽しめちゃいます。
いい品質のものだけじゃなくて、最新の設備も備えているんだよという紹介でした。じゃあ、次は2階に行きましょうか!
ここは和室です。さっきは漆喰の話をしたけど、この部屋は土壁になっています。頑丈な素材で長持ちするのが特長です。やっぱり、壁紙に使う接着剤などは化学製品の匂いがします。アイジースタイルハウスは自然素材で健康にいい暮らし、を追求しているんですよ。あと、ここは道路に面した部屋だから防音にもこだわっているんですけど、それはまた改めて紹介しますね。
は〜〜い。
えっ、このイス、なに!?
座る!? 半分こして座る!?
高校生って、かわいいな〜〜! じゃあ、次は店舗のほうに戻って防音材などの紹介をしますね!
防音材と断熱材のすごさを実感
よし、防音材の紹介をします。この防犯ブザーを鳴らして、防音の壁の素材の中に入れると……。
全然音がしない!
え〜〜、こんなに!?
こんなに、なんです! さっきのコンセプトハウスの和室が道路に面していながらも、あれだけ静かだったのが納得ですよね。
じゃあ、僕は断熱材の紹介を。このグラスウールが、一般的な断熱材です。そして、こちらがアイジースタイルハウスの家で使われているセルロースファイバー。ほら、こうして火を近づけても全然煙が出ないでしょう。大きな地震などがあった時、建物の倒壊以上に火事で亡くなる人が多いとされているんですけど、それは煙を吸って意識を失ってしまうせいだと言われています。
安全な素材なんですね。
そういうことです! じゃあ、次は休憩を挟んで、私たちの社会貢献活動について紹介させてください。
日本林業の課題と社会貢献活動を知る
まず、前提として、現在の住宅づくりには、次のような人々が関わっています。山の木などを販売する「林業・森林組合」、その木を材料化する「製材業」、材料に適した状態にする「乾燥加工業」、それを仕入れて販売する「木材販売業」、最後に「住宅会社」です。これらが一方通行でした。つまり、住宅会社が直接、林業の人たちと関わることはほぼなかったわけです。
そうすると、乾燥・加工に至るまでの人たちは、どんな風に木を切って加工すればいいのかわからないんです。なんとなくのサイズ感で木材を加工していました。でも、それだと必要のない木材が出てきてしまいますよね。私たちの会社は、そこを変えようと試みました。
アイジーコンサルティングが提唱したのは「課題解決型サプライチェーン」。一同が円卓を囲うようにして、意見を交わし合うようにしました。そうすると、始点である林業の人たちが、どのような木材が必要とされているのかわかってきて、木のポテンシャルを最大限まで引き出し、余すところなく木を使えることができるようになってきました。
それが、2人がさっき見ていた木の断面図です。梁を中心に、平板、野地板、垂木、間柱など、1本の木がさまざまな用途に使われます。
あぁ〜〜!
私たちはこの取り組みを、「JAPAN WOOD PROJECT」と呼んでいます。今、山には大径化して使いどころのなくなった木がたくさんあって、それを有効活用しようと取り組んでいます。
すごい。
今日みたいなフィールドスタディで、一人でも多くの人に、このことを知ってもらえればうれしいなと考えています。日本に住む一人ひとりが持続的な未来を考えたら、きっと社会が変わっていくはずなので。
でも、今聞いていると、日本は森林大国っていうことですよね。木材の自給率が低い理由はどうしてなんですか?
それは、日本の国産材が輸入材に比べて高価だから、というのが一つの答えです。輸入が自由化されて以来、コストの低い輸入材を使うのが当たり前になってしまって。だから、先ほど話したように、日本の山には使われずに大きくなってしまった木が多く存在するんです。悪循環ですよね。それを断ち切ろう、という大きな課題に立ち向かっているのがアイジースタイルハウスです。
今、解決するのが困難な課題ってなんですか?
いくつかあります。職人さんの高齢化で次世代の担い手が少なくなっていることだったり、国産材を使いたくても山に重機を入れられるような道がなくて、プロジェクトを進めるのがそう簡単ではなかったり。
でも、なんとかこの現状を変えようと頑張っています! 2人は、今日はどうでしたか? 何か印象に残っていることとかありますか?
モデルハウスの木の匂いが心地よかったよね。
うん、落ち着いた。あと、丸太の真ん中以外にも木材として使われている部分があるんだっていうのが驚きだった。
やあやあ、佐原です。そろそろ時間だね、今日はどうだった? 今、内田さんと大場さんからいろいろな説明があったと思うけど、それよりも感じてほしい裏テーマみたいなものが本当はあって。それは、大人になるのって嫌かもしれないけど、仕事するって楽しいんだぞっていうワクワク感みたいなものなんだ。
あ、それは感じました!
楽しそうだったよね。
職場の雰囲気がいいよね。なんか、みんな和気藹々としているっていうか。
上司の人にもフランクに話していたりね。仲がいいんだなって思った。
ありがとう。それが一番うれしいな。
私たちも、2人がいろんなところで「すごい!」と言ってくれて、説明しがいがありました。
私は、実はフィールドスタディの現場に立つのが初めてだったんです。少し緊張したけど、2人の空気に緊張が和らぎました、ありがとう。
今日は本当にありがとうございました!
ありがとうございました〜〜!
3時間という短くない時間、嫌な顔一つせずに参加してくださった磐田西高校の2人に、まずは感謝いたします。
社会にはさまざまな仕事があり、その数だけ企業もあります。数ある企業のなかから、2人がアイジーコンサルティングへのフィールドスタディを選んでくれたのは、「モデルハウスがおしゃれだったから」とのこと。どんなきっかけでも構いません。佐原さんが言っていたように、この時間が、大人になって働く楽しさ、さまざまな職種があること、そして日本が抱える課題を知るきっかけになれば幸いです。