「ONE TEAM」を目指した研修合宿で縮まる距離感 コミュニケーションに重きを置く意味を今こそ考える
- 研修内容のヒントになったのは、前身会社の「研究員心得」という一枚の紙
- ベテランと若手の“オフの顔”での交流で距離感が縮まる
- 脈々と受け継がれてきた思いと技術がアイジーコンサルティングにはある
アフターサービス課はシロアリ防除のプロ
まずは、メンテナンス事業部アフターサービス課の仕事内容から、読者の方にご説明できればと思います。
私たちの仕事は、建物の維持管理です。戸建て住宅向けのシロアリ防除の作業が中心となっており、床下に入ってシロアリの予防対策を行なっています。ほかにも、外壁塗装や定期検診などの業務があります。
合宿を運営したのは「シン維新プロジェクト」のメンバーですが、同プロジェクトについても教えてください。
私がリーダーを務める「シン維新プロジェクト」は、アフターサービス課の若手メンバー6人で構成されています。既存の価値観から脱却して、時代に合った新しいアフターサービス課を目指した改革をしていこうと取り組んでいます。これまでに教育プログラムの刷新などを実施してきました。
研修1日目のプログラム
研修合宿は、11月18日から19日に掛けて行われました。何人が参加したのでしょうか。
全国にいる、アフターサービス課の全員が参加しました。静岡をはじめ、埼玉、東京、千葉、神奈川、静岡、愛知、岐阜から約40人が参加しました。
もともと、この合宿は「シン維新プロジェクト」の前身となる「維新プロジェクト」のメンバーが実施していたんです。私も入社して間もない頃に参加して、とてもいい思い出がありました。
今回は5年振りの開催と聞いています。
コロナ禍を挟んだので、久々の開催となりました。提案してくれたのは、牧田さんだったんですよ。
私が課長になったのは約1年前の2023年10月のこと。なので、全国にいる課のみんなと関わる時間をつくって、ONE TEAMにしていきたかったんです。
コロナ禍でウェブ会議が当たり前になりましたが、画面越しに話すだけでは伝わらないものってあるじゃないですか。なので、リアルで会う機会をつくりたい意図もありました。
合宿のテーマは「原点回帰」だそうですね。
そうです。アイジーコンサルティングの創業は1899年に遡るのですが、かつての社名は「株式会社井上白蟻研究所」でした。ある日、当時の「研究員心得」という一枚の紙を目にしたのですが、そこに書かれていた言葉に感銘を受けて。何十年も前につくられたものですが、今の我々に必要な意識じゃないか、と感じたんです。
そうだったんですね。では、「研究員心得」については、この後、触れていきたいと思いますので、合宿1日目の内容から振り返っていければと思います。
まずは代表からのあいさつがありました。「アフターサービス課の仕事は、お客様の家に行き、点検をし、5年間シロアリが出ないように工事することです。その工事がしっかりしたものでないと、5年間の補償が守れません。そのため、現場でしっかりとした仕事をする意識を常に持っていてほしい。建物の構造も時代と共に変わっていくので、常に学びが必要です」という内容でした。
私からは「研究員心得」について話し、原点にある大事なものを今こそ思い出し、みんなで共有していきましょうと話しました。
これが「研究員心得」ですか。たしかに、今でも変わらない価値を持つ言葉ですね。研修の内容は、この心得の内容に沿って考えられたと聞いています。
そうです。「研究員心得」にある「相手の立場で〜」を意図したものでは、ダイアローグについて学びました。ダイアローグは、対話を通じてお互いの立場・価値観を理解し、行動や物事の考え方を変えるきっかけを生み出すコミュニケーションのことです。ディスカッションとの違いや、他者を理解して尊重する重要性を感じてもらえたと思います。
次のプログラムは「礼儀・礼節」について学ぶ、マナーの研修ですね。
所作や言葉遣いについて、クイズ形式で楽しみながら学びました。そして、1日目の最後のプログラムは「技術の向上」について考える自習文化です。構造の難しい現場や、シロアリの侵入経路が見えない時にどういう判断をするか若手に考えてもらい、ベテランからフィードバックをもらう、というものでした。
1日目は11時30分に集合して、終わったのが17時です。その後は懇親会を楽しみ、自由時間となりました。自由時間は、各々が部屋でお酒を飲んだりと楽しんでいました。
「おじさんがいると若手が困る」と遠慮していたベテランのもとに、若手がお酒を持って押しかけていましたね(笑)。ベテランたちも喜んでいました。
研修2日目のプログラム
2日目の最初のプログラムは、「真の顧客満足」を目指した「CS向上」ですね。どんなことを学んだのでしょうか。
いかにお客様に感動体験を提供できるかについて学び、考えました。アフターサービス課には職人気質の人が多いですが、私たちはサービス業でもあるんですよと。社内にあるCSプロジェクトというチームのメンバーに依頼して、どのようにCS向上を実現するかを話してもらいました。
次のプログラムはマインドセットですね。
アフターサービス課の前身である技術課・アフター課の創設に携わった取締役などから、当時働いていた人たちの思いや、今のアフターサービス課に期待することなどを話してもらった動画を流しました。私たちの会社には「シロアリは絶対におれたちの手で防ぐんだ」という強い職人意識が、当時からあることがわかりました。
それは貴重なお話でしたね。2日目は、そのほかのプログラムを挟んで、最後に牧田さんのあいさつがありました。
学んだことをインプットで留まらせるのではなく、現場で生かしてほしいということを伝えました。
その後は、みんなでバーベキューを楽しんで解散となりました。
合宿のアンケートでわかったこと
合宿の反応はいかがでしたか?
アンケートでは、「昔からある考えが今でも大事なことがわかった」「怖いと思っていたベテランが、話すとよく笑う人で仲良くなれそうだと感じた」などの声がありました。合宿後、これまであまり交流がなかったメンバーが積極的に話をしてきてくれたりと、合宿を通して、気軽に話し合える関係性がつくれたのではないかと思います。自分も新人の頃に、合宿のお陰で先輩と話せるようになったので、今度は話し掛けられる側になったのだと感慨深くなりました。
みんなが積極的にプログラムに取り組んでいたのも、いい風景に映りました。これから、メンバーの関係性がより深まって、目指しているONE TEAMになれることを期待しています。
すばらしい成果ですね。お二人は、アフターサービス課を今後どんなチームにしていきたいですか?
「シン維新プロジェクト」が合宿を企画・運営したように、現場以外での活躍もできるんだよということを、特に若手のメンバーに伝えていきたいと思っています。これだけのメンバーがいるので、才能も人それぞれ。現場以外にも花開ける環境を整えていければと。
アイジーコンサルティングは、先ほども話したように1899年創業の歴史ある会社です。脈々と受け継がれてきた思いや技術を糧に、シロアリ防除の業界を牽引していくプロフェッショナルのチームにしていきたいです。来年以降も合宿をしてほしいという声がたくさんあるので、今後もさまざまな機会を通じてONE TEAMをつくり上げていきます。
来年も、という声があるのはうれしいですよね。この研修合宿をアフターサービス課の文化にしていきたいと考えています。
「研修合宿というと、退屈そうな態度の従業員が一人はいる」――そんな風景を思い浮かべるリーダーや経営者の方も多いのではないでしょうか。今回、アフターサービス課の研修合宿が成功したのは、櫻井さんをはじめとする「シン維新プロジェクト」の企画の賜物。コミュニケーションに重きを置き、気づきや発見に満ちた時間となりました。
本記事が、「この合宿が、アフターサービス課が変わる前の過渡期だったね」と後年になって言われるような記録になればと思います。また、研修合宿を考えている社内外の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。