一流の施工員を目指して 実地研修で現場品質の向上を図る

DATE : 2023.05.08
目次
2023年4月、2回に分けてアイジーコンサルティング メンテナンス事業部でお客様宅で住宅メンテナンス・シロアリ防除工事を担当しているアフターサービス課メンバーによる施工実地研修が行われた。 この実地研修は、技術力・品質向上のために実際の壁・床構造の模型をもとに現場を想定した実践型の研修である。今回、この研修の運営企画のリーダーを務めた櫻井さんに実地研修の取り組みについて話を聞いた。

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この記事のPOINT
  • 現場力・技術力を向上し、サービス品質向上に努めたい
  • 現場を想定した構造模型を用いた実践型の研修で施工品質を追求する
  • 「失敗から学べ」机上では学べない、実地だからこその体験価値
  • 共通体験を通してコミュニケーションの中での品質統一を図る
この記事に登場する人
櫻井遥哉
株式会社アイジーコンサルティング
メンテナンス事業部 浜松支店 アフターサービス課
今回の実地研修の企画運営担当。
アフターサービスとして施工を実施する傍ら、新人教育・研究開発等のプロジェクトでも活躍中。

実地研修の目的

実際の現場を想定した研修で施工品質の向上を図る
櫻井さん

今回の研修の目的は、施工現場での「品質・対応力向上」です。
実際の現場を想定した壁や床の構造模型を作成し、適切な施工方法についてと、施工事故発生時の対処法について実地で施工技術を学ぶ機会を設けました。
品質向上・安全管理を主軸に実際の現場を想定しながらの施工技術研修に加え、施工事故を再現・体感し、その際の対処法についてを実践形式で学んでいく研修です。
また3年ぶりのリアルでの実地研修でしたのでメンバー間のコミュニケーションの促進も目的としています。

取材班

今回、実際の現場に近い状況を再現するために、壁構造や床構造の模型を作成し、実践形式で学べる環境を再現したと伺いました。

櫻井さん

はい。壁面・床下へのシロアリ防除施工が学べるよう、壁面模型と、床下構造模型を全部で5種類準備しました。「実際の現場と同じ状況で施工を行う」ことにこだわりました。どうしても建っている家だと壁内は見えないため、施工指導の際もイメージの話しかできないんですよね。イメージを具体的に視覚に移せたら、「ここに穴を開けるんだ」「ここの物件の場合はこういう構造なので上に穴をあけよう、下に穴をあけよう」と、ちゃんと工事の理屈を理解しやすくなります。

実際の住宅構造に合わせて構造模型を作成
タイル壁の裏には配管を配置。
櫻井さん

特に壁面は、実際に仕上げ材もクロス・タイル・外壁サイディングと現場を想定した3種類を用意しました。模型だからといって簡素化するのではなく、実際の壁の構造と一緒にし、タイル裏には配管を設置したり、壁内には断熱材やコンセントボックスなども設置し、施工の際の注意点を学べる仕様としました。また関東エリアは、在来工法の浴室などタイルの壁面がある現場が少なく若手は施工経験が少ないため、この機会に経験値を増やしてもらうという狙いもありました。

取材班

実際の現場を想定しつつ、視覚で施工方法を理解する・体感する。模型であれば失敗を恐れず何度もトライできますし、学びには非常に良い機会ですね。

櫻井さん

はい、皆が実践して体験することに価値のある研修です。
今回行った実地研修の内容は主に3つです。

①施工方法(壁面処理・床下 特殊施工)のポイントを学ぶ
②施工方法の検証 薬剤の浸透具合を見て学ぶ
③施工事故を体験 事故防止策と有事の対応を学ぶ

1つずつ紹介していきます。

実践で学ぶ 全員参加の実地研修

①施工方法(壁面処理・床下 特殊施工)のポイントを学ぶ
まず施工技術の高いベテラン社員が実演をしながらポイント解説。 構造・仕上げ材ごとに施工の注意点・ポイントを説明。
・工具の使い方の注意点について
・どこに穿孔(穴をあける)のが適切か
・穿孔した穴を埋める補修作業のポイント
壁の裏にコンセントボックスがある場合は、配線に薬剤がかからないよう注意!
コンクリートに穿孔する際は、配管を抜かないように器具で位置確認を!
先ほど学んだ施工のポイントを踏まえ、実際にメンバーが実践。 インパクトドライバーで穿孔(壁に穴を開ける)し、その補修作業までを行う。
いざ実践!ベテラン社員が温かく見守ります
「こうすると良いよ!」若手社員にアドバイス
硬い壁にどのように穴をあけたらよいのか。例えば穴をあけるにしてもまずドライバーを回転させて溝を作ってからビットの先端を固定してから穴を開けるなどのポイントがある。実践し、自分がやってみた感触に照らし合わせてその場で上司先輩から指導を受けられるため改善点がすんなりと入っていくようで、多くのことを吸収し実践していた。入社間もない社員にとっては、失敗を恐れず施工練習ができる貴重な機会となり、意欲的に何度も研修する姿が見受けられた。
②施工方法の検証 薬剤の浸透具合を見て学ぶ
壁面模型の裏側にアクリルパネルを配置し、実際に壁面に薬剤を注入した際にどのように壁面に薬がまわるのかを検証。
壁面への薬剤注入。柱にどのくらいで薬剤がまわるのか。
低床で床下に入れない場合の施工法。床にノズルを差し込み散布。
施工方法・効果については、机上で理論は学んでいましたが内壁の中は見ることができないため、どのように薬剤が浸透していくのかはイメージするしかありません。 今回は、模型でその様子を見ることができたので、現在の施工方法の効果を実感することができたようだ。なぜこの位置から薬剤を散布するのか、コンセントボックスがあった際はどこに注意すべきなのかを体感で学べたことは大きい。施工方法への理解が深まったようだ。
③施工事故を体験 事故防止策と有事の対応を学ぶ
施工事故は、起こさないことが一番だが、施工事故が起きたらどのような状態になるのか、その時にどのように対処をすればよいか。また事故を起こさないためのポイントは何か。それを学ぶ機会を設けた。 施工事故を起こしたくて起こす人はいない。想定外の出来事で現場で慌てないよう、まずは施工事故を体感・体験してもらう。研修でないとできない体験だ。

タイル壁の裏に設置された配管を抜いてしまったらどうなるのか。
実際に模型の配管に水を通し、配管をドリルが貫通したら水が吹き出る仕様にし、施工事故現場をリアルに再現。
抜こうと思うとなかなか抜けない・・・ 
うわっ水が噴き出した!!タイル側と壁内の配管を確認
噴き出した水をどうやって止めるのか
壁内はどのようになっているのか
実際に壁越しに配管を抜くことで、「この感触が危ない」と体感で学ぶことができる。
また実際に見て体感したことで、施工の注意点とともに事故発生時の対処法も身をもって体験することができた。

実地研修を終えて

実地研修という「共通体験」が組織の品質統一・向上に繋がる。
取材班

研修を終えて、参加者の反応・反響はどうでしたか。

櫻井さん

若手社員からは、実際に現場で教わってきたことをもう一回反復し、施工方法・ポイントについてより深く正しく理解することができた点や、今まで経験したことのない施工事故を実際に起こし、施工の注意点や対処法を学べた点が良かったとのことです。何より楽しく意欲的に学んでくれたのがよかったです。また、施工現場で同行した際に「あの模型の時は、こうだったんで、この現場ではこの位置に穴を開けるのが良いですよね」と話が出ます。学び取って吸収してくれているのを実感しています。

取材班

「体感して学ぶ」、その価値の大きさを感じます。

櫻井さん

はい。また皆が実地研修という共通体験を行ったことにより、現場で指導する際もその体験が「共通言語」となっており、現場指導もしやすいそうです。
そして何より中堅・ベテラン社員も「ちょっと試したいことが」と、模型を使って新しい施工方法を試してみたりとアイデアが膨らんでいたようです。ベテラン社員の揺るぎない探求心にプロの心意気を感じました。

今回の研修では、自分たちが想定した目的にプラスしてコミュニケーションの中での品質統一、またベテランから若手の技術の継承など予想以上の副次効果がありました。
作成した構造模型は、新しく社員が入社した際に研修で使うだけでなく、新たな施工方法の研究や開発など、いろいろな使い道がありそうです。今後も追求していきます。

研修を終えた社員たち。皆晴れやかで自信に満ちた表情が印象的である。
この記事のまとめ

今回の実地研修は、ただの技術力・品質向上には留まらない、参加者にしか得られない体験価値があった。プロとしてお客様宅での失敗は許されない。正しい施工方法を理解しシロアリの侵入を防ぐ、施工事故を再現し事故を起こさないための対策を学ぶ。社員皆が共通体験をすることで、現場での品質統一の観点での共通言語が生まれ、指導する側・学ぶ側でのコミュニケーションが円滑になり、相互理解が深まったようだ。研修を通し、若手は技術力を向上させ、ベテランは新たな施工方法開発への創造・意欲を掻き立てられている。更なる高みを目指し、追求し続ける、アフターサービス課の進化に今後も期待したい。

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