社会人×スポーツ FC ASANO〜サッカーで人を繋ぐ場所〜(後編)

DATE : 2023.06.19
目次

前編では、FC ASANOについて様々な思いを話していただいたが、後編では社会人×スポーツという視点で取材に答えていただいた。
サッカーを続けていることが、仕事や人生にどのように生きているのか。
また、今もスポーツを続ける社会人という視点から、スポーツに打ち込む学生にメッセージもいただいたのでそちらもぜひ注目して読んでいただきたい。

前編の記事はこちら
この記事のPOINT
  • 現役大学生が、社会人アスリートへインタビュー!
  • 仕事とサッカーの共通点とは?
  • スポーツを頑張る学生さんへのメッセージ

FC ASANO

2007年から神奈川県横浜市に位置する浅野高校サッカー部のOBによって設立。
横浜市内を主な活動拠点とし、約30名で毎週日曜日に活動している。
神奈川県社会人リーグ3部に所属し、2部昇格を目指す。
当初は浅野高校OBが中心だったが、現在ではOB以外のサッカーをプレーしたい社会人も多数在籍する。

この記事に登場する人
岩永章佑さん
浅野高校OB・会社員
ポジション:MF
現キャプテンを務め、FC ASANOの活動を中心になって支える。
森田暁雄さん
浅野高校OB・会社員
ポジション:MF・ボランチ
創設メンバーであり、初代キャプテンを務める
内山貴博さん
浅野高校OB・会社員
ポジション:SB
大学時代からこれまでチームに参加し、前キャプテンも務める。
奥健太朗さん
浅野高校OB・新卒1年目の社会人
ポジション:FW
新卒1年目で、大学時代からチームに参加。
三上亮祐さん
柏陽高校出身・新卒1年目の社会人
ポジション:MF
大学時代から参加し、就職活動もこのチームに相談。
田中圭介さん
浜松北高校出身・アイジーコンサルティング
ポジション:MF
浅野高校OB以外としてFC ASANOに所属し、サッカーを続ける
【取材】山岸天舜さん
愛知大学4年
スポーツライターを目指して活動中

仕事×サッカー

サッカーを続けてきた経験が、仕事に生きたことはありますか?
岩永さん

あります。仕事は基本的に1人ではできなくて、多分2人でもなかなかできないです。1つの仕事に多くの人が絡みます。そうなった時に、同じ仕事をするメンバーのモチベートや指示の出し方、そして指示のもらい方はサッカーで身についたことが生きてると思います。また、仕事でミスをした仲間がいれば、次の仕事へ繋げられる声かけを意識していますね。サッカーはミスをしてもすぐに次のプレーが来るので、そういった部分が仕事に生きています。

森田さん

サッカーはピッチにいる11人の意思を統一することが重要です。仕事も同じで、会社からの指示に対して全員で同じ意識で臨むことが、仕事を成功させるには必要です。そのため、全員が同じ方向を向くために何が必要か考える力を、サッカーで培うことができました。それと社会人1年目に大阪に配属されたんですけど、初めて行く土地でしたし、全く知り合いがいなかったんです。でも、サッカーをしていたらいつのまにか友達ができました(笑)サッカーはボール一つで世界中の人と繋がることができるので、それは仕事というよりも人生に生きていますね。

 

仕事もチームスポーツ。

多くの人が携わる事によって、一つの仕事が成り立っている。そして、その仕事も成功というゴールがあり、それに全員で向かっていく必要があるのだ。サッカーを続けてきて得られたものは、現在の仕事にも十二分に生かされている。

そんな社会人アスリートたちだが、多くのものをサッカーを通じて得ると同時に、苦労や挫折を経験し、それを乗り越えて今がある。

サッカー人生での困難

学生時代も含め、今までサッカーで経験した苦しかった事について教えてください。
田中さん

中学3年生の時に、足の病気でサッカーができなくなってしまった事です。痛みが酷くて、サッカーから離れるという選択肢も頭によぎりましたが、続けられたのには友達の存在が大きかったです。友達がサッカーをやろうと誘ってくれた事で、手術・リハビリを経てまたサッカーを続けようと思えました。

森田さん

高校の時に試合に出られなくなったことです。監督が代わり、部全体の雰囲気が大きく変わり、その中でAチームからBチームに落ちてしまいました。そしてBチームでも出られなかったんですよね。当初は苦しかったですけど、そこで今までとサッカーの向き合い方が変わって、努力を重ねました。結果、ポジション変更もあって、Aチームでまた試合に出られるようになりました。

岩永さん

自分は高校の時の週6日部活があるのがシンプルにキツかったです。体がそこまで強くない方だった事もありますが、高校生なので遊びたいと思ってましたし、もちろん勉強もしなければいけない。なので、後ろ向きな気持ちでサッカーに取り組んでいたこともあります。そう思うと今の方が楽しいですし、サッカーに主体的に取り組めていると思います。

 

怪我や病気、試合に出られない、練習がキツい。

今現在スポーツを続けている学生の中には同じ苦しみを持って戦っている人も多いはずだ。その時は先が見えない不安や焦り、またやめてしまおうと頭によぎることもあるだろう。

それでも、そこで続けたことで得られるものもきっとある。逆に言えば続けることでしか得られないものの方が多いのではないかと思う。 そして、そんな過酷な経験を経て、現在もなおサッカーを続けている選手の方から、今を頑張る学生へメッセージを頂くことができた。

社会人アスリートから今を頑張る学生へメッセージ

スポーツをする学生へメッセージをお願いします。
内山さん

「その時」でしかできないことを頑張ってみてください。苦しい時でも今何を頑張ればいいのか考え、その中で出した答え一つひとつに、一生懸命取り組んでみてください。そうすることで色々な経験ができると思いますし、何よりやっていてよかったと思えるはずです。辛い事に向き合うことは将来にも必ず生きてきます。自分の今できることに精一杯取り組んでみてください。

奥さん

今やってるスポーツを楽しんでください。自分は高校3年生の総体で1回戦敗退を喫しました。キャプテンとして最後までチームをまとめきれず敗戦した事が辛くて、サッカーを嫌になりかけてました。でも、そこでなぜこんなに辛い思いをするのに、サッカーを続けているのか考えました。考えた結果、やっぱり楽しいからなんです。もちろん辛い事・嫌な事はたくさんあります。でも、そんな中で「楽しい」を前提に持って、できる限りの努力をすることが、結果にも繋がってきますし、何より自分を支えられると思います。辛くなったらまずは「スポーツが楽しい」という所に立ち返ってみてください。

森田さん

今現在なかなか試合に出られない子もいると思いますが、それでもそのスポーツが好きなら自分のレベルアップに向けて努力してみてください。試合に出られるかは人からの評価になりますし、それは自分で決められません。だから、自分がそのスポーツを好きという気持ちを大切に、努力する事が重要だと思います。また、今は試合に出られなくても今後ずっと出られないわけではありません。環境が変われば、レギュラーになることももちろんありますし、社会人になれば重要な仕事を任されることもあります。もちろん本当に嫌ならそのスポーツから離れることも必要です。でも、少しだけ視点を今の苦しい状況から将来に変えて、努力してみてください。

田中さん

今はスマホ一つで練習メニューやトレーニング、戦術など様々な情報を得て、部活以外でもスキルを高められると思います。僕らの頃はなかなかそういった情報を得ることができなかったので、今の学生にはぜひ活用してほしいです。なので、自分の考えている以上にできることはたくさんあります。だから、うまくいかないときでもできないことばかりを考えるのではなく、自分には今何ができるかにフォーカスして、努力してみてほしいなと思います。

 

岩永さんは学生へのメッセージと共に自身の夢についても話してくれた。

岩永さん

自分は60歳のシニアリーグまでプレーして、今プロで活躍する人たちと一緒にサッカーをしたいと考えていて、それがサッカーを続ける上でのモチベーションにもなっています。だから、学生の子達はなんとなくでもいいから将来のなりたいを見つけてみてください。スポーツを続ける以外の選択肢でもいいので、将来像があればまた今続けているスポーツに対しても違ったアプローチができるのかなと思います。

この記事のまとめ

社会人になってもサッカーを続けるということ。
私は取材前、大変なことばかりではないかと勝手に想像していた。
場所や人数の確保はもちろん、モチベーションの維持、疲労面などを考えると学生からの流れで半ば強制的にやっている人もいるのではないかと。

しかし、FC ASANOの皆さんは口々に「サッカーを続けることが楽しい」と話してくれた。
仲間とプレーすることが楽しい、うまくなることが楽しい、勝つことが楽しい。
この取材を通して、スポーツは楽しさから色々な物を追い求めればいいということを教えてもらった。
だから、学生にもこの「スポーツが楽しい」という気持ちをぜひ心に持っていて欲しい。
中にはそれを甘いと考える人も中にはいるだろう。

しかし、スポーツが楽しいという気持ちは、スポーツを始める上でのスタートラインなのだ。
辛い時、苦しい時はぜひそのスタートラインに戻って、そこからもう一度スタートを切ってみてはどうだろうか。
そうすることで、今までと違った気持ちで困難を乗り越えることが出来る。
そして、そのスポーツの楽しさを通して得た様々な経験・出会いが、きっと人生に彩りを与えてくれるはずだ。

前編の記事はこちら

この記事を書いたのは

山岸天舜 愛知大学4年(2023年6月現在)
小学校2年から高校3年生まで野球をプレー。大学2年時からJr.Athleteでインターンに参加し、そこでスポーツライターになることを決意。
現在もJr.Athleteインターン生として、日々、学生の取材・記事執筆の活動に取り組んでいる。

Jr.Athlete|地元学生の部活動を応援するフリーペーパー。学生、その親御さんから高い支持を得ている。

 

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