「木ってこんなに面白い」を伝えたい。JAPAN WOOD PROJECTの未来につなぐ想いのバトン。

DATE : 2024.03.11
目次
サプライチェーンでつながる様々な事業者が参加するJAPAN WOOD PROJECTの未来にはどんな展望があるのだろうか。また、参加する人々の想いはどのようなものなのだろうか。本記事から、「天竜」の木材を取り巻く人々の思いをインタビューを通してリレー形式で紹介していく。JAPAN WOOD PROJECTインタビューリレー第二弾では、浜松木材工業の梅林さんにお話を伺った。彼らの想いは一体どんなものなのか、詳しくお伝えする。様々な立場の参加者たちの想いを垣間見ることによって、JAPAN WOOD PROJECTの未来像が見えてくるかもしれない。

※JAPAN WOOD PROJECTについて詳しくはこちら
インタビューリレー第一弾▼
天竜の木をみんなで届ける。JAPAN WOOD PROJECTの未来につなぐ想いのバトン。
この記事のPOINT
  • 天竜の木材の魅力を伝え、守っていきたい
  • 同じテーブルを囲み同じ目線で話し合う
  • 使命と想いを木材にのせて
  • JAPAN WOOD PROJECTの活動を広げたい。地域と林業の輝く未来のために
この記事に登場する人
梅林 大介
浜松木材工業株式会社 代表取締役社長
JAPAN WOOD PROJECTを構築するサプライチェーンの中で、原木市場で買った丸太を製材する仕事をしている。
”JAPAN WOOD PROJECT”
それは、「繋がり」。人々が木のぬくもりを感じ、木の恩恵をまた山へ返す。みんなでつくる循環の物語。

木材がお客様に届くまでには、林家、丸太市場、製材所、販売店、加工業者、住宅会社というサプライチェーンが存在します。しかし、従来の形は、そこに資材の流れが存在しているだけ。

川上である「山側」の願いは川下である「建築会社」に伝わることはなく、逆に川下である「建築会社」の想いが川上の「山側」へ届くことはありませんでした。

そこで、JAPAN WOOD PROJECTでは一方通行だったこの木材産業サプライチェーンの構造を複方向になるよう統括しました。

「従来型サプライチェーン」の図
それぞれの事業者が持っていた課題をみんなで解決し、想いを理解し合うことで、どんな道を築き、どんな未来へつながっているのか。

JAPAN WOOD PROJECTに関わる事業者の声を聞きにいく、J W P リレーインタビューシリーズ第二弾。
今回は、浜松木材工業の梅林さんにお話を伺った。
JAPAN WOOD PROJECTの構図と浜松木材工業さんの関係

天竜の材を守りたい。その想いならだれにも負けない。

浜松木材工業について

取材班
改めて浜松木材工業さんについて教えてください。

梅林
製材工場で、丸太から部材を製造する仕事をしています。

取材班
JAPAN WOOD PROJECTのサプライチェーンの中でいうと...?

梅林
森林組合連合さんから丸太を買ってきて、ここで製材したものを鈴三材木店さんに売って、それが後々IGさんのおうちで使われている、そういう順番です。

取材班
お仕事の中でこだわっている部分はありますか?

梅林
うちは地域の木材にこだわっています。天竜の木を守りたい、僕が守らなきゃという想いがあって、そこは大切にしている部分ですね。

JAPAN WOOD PROJECT × 浜松木材工業

取材班
JAPAN WOOD PROJECTにはどのような流れで参加が決まったのでしょうか?

梅林
最初は、鈴三材木店さんから「ヒノキの梁(はり)を造れますか?」ってお話をいただいたところから始まりました。その時は、ヒノキの梁を作る丸太も持っていなかったし、造ったこともなかったです。

取材班
そうだったんですね。今までもこのように新しい製材を受注することはあったのでしょうか?

梅林
そうですね。流通店さんからの紹介で、工務店さんやお施主さんからリクエストをいただいて特殊な材での製造をすることはありましたが、ワンポイントの受注で、継続性はありませんでした。

取材班
今回のJAPAN WOOD PROJECTは継続的なものになることを聞いてどんな感想をお持ちでしたか?

梅林
色々話を聞いていくうちに、ワクワクがどんどん大きくなっていきましたね。僕らや山の「想い」を広く伝えられる場になるかもしれないと思いました。

JAPAN WOOD PROJECTで想いを反響させていく

取材班
「伝えたい想い」というのは、冒頭でもお話しいただいたように、天竜の木材を守っていきたいというところでしょうか?

梅林
そうですね。天竜の木材の、その素晴らしさを知ってもらいたいしもっと使ってもらいたい。使ってもらわないと山は生かされませんからね。

取材班
いつからそのような想いが芽生えたのでしょうか?

梅林
この製材所を父から受け継いだ時に木の勉強を始めました。天竜の製材屋さんを巡って、木の乾燥や製材について学ぶと、「この木ってどこで育っているんだろう」と製材前の木の生い立ちが気になってくる。

取材班
それで山主さんのところにも通ったんですね。

梅林
はい。山に通って初めて「木は人の手が入らないと育たないんだ」ということを実感しました。今まで全然知らなかったけど、山の人ってこんな想いで木を育てているんだってね。

取材班
勝手に育ったものを切っているわけではないんですね。

梅林
そうなんです。自然に勝手に生えてくるわけじゃなくて、人の手が入って「生産」してるんですよね。じゃあ僕らもそうやって一生懸命つくったものを価値のあるものとして繋げていかなきゃいけない、それが僕の役目じゃないか、って思うようになりました。

JAPAN WOOD PROJECTの強みと恩恵

「繋がり」が生まれ、もたらされた変化

取材班
活動を始めて5年ほど経ったと思うんですけど、パートナー企業さんとの関係性だったり、自分自身の仕事で、変化はありましたか?

梅林
今までは、さきほどお話したような僕らの想いや「こういう材があるんです」ということを発信する場が全くありませんでした。

取材班
それが共有できるようになったのですね。

梅林
声を上げないと知られないとわかっていても、知らせる場もなかった。そんな時に、JAPAN WOOD PROJECTのお話をいただきました。隣の仕入れ先だけじゃなくその前の人、その先の人とも顔を見て話ができる場っていうのは今までありませんでしたから。

「双方コミュニケーション」でここまで変わる

取材班
JAPAN WOOD PROJECT の取り組みの中でも、特にメリットになっている部分を教えてください。

梅林
なんといっても丸太一本をまるまる、無駄なく使えるようになったっていうのは、こちらとしてはとても嬉しいことです。どれだけこの木1本に苦労がかかっているかを考えると、少しでも無駄にしたくないというのが川上側の想いです。

取材班
それはやはり情報共有を行えるようになったことが、鍵だったのでしょうか。

梅林
そうですね。こちらとしては、「その製品を作りたいんだったらこの丸太です」とか「でもここが余っちゃう」とか。伝えたいけど、そんな会話自体がなかったので。まず、その場があることが大きな変化です。

取材班
一方的な受注だったのが、双方コミュニケーションが加わって提案し合える関係になったということでしょうか?

梅林
そうですね。自分のことのように、「この余った部分、うちだったらこれにできるんじゃない?」と逆に提案してくれたり。一緒に課題として取り組む仲間ができて、結果的に余すことなく丸太を使えるようになったんです。

今後の森林組合とJAPAN WOOD PROJECT

今後の森林組合の展望

取材班
浜松木材工業さんの使命を教えていただけますか?

梅林
天竜の木材の魅力や、木ってこんなに面白いんだぞっていうことを伝えていくことですね。そして伝えられる方法を考えること。それが製材という業種の役目のひとつだと思っています。

取材班
そのためにもJAPAN WOOD PROJECTでやっていきたいと考えていることを教えてください。

梅林
みんなでもっと顔を合わせる機会を増やして、どこかで課題を抱えたらみんなで解決していく、それを繰り返していきたいですね。やっぱりひとりじゃ難しいことも、チームでなら可能性が何倍にも広がるっていうことを知りましたからね。

取材班
もっと広く「伝える」ためにも活動を増やしていきたいですね。

梅林
DXやAIで省略化が進んでいますが、やはり同じテーブルを囲んで、目を見て話すと伝わり方が違いますからね。第2、第3のJAPAN WOOD PROJECTが出てほしいなと思います。

取材班
想いをお聞かせいただき、ありがとうございました。今後もとも、天竜から木材産業の活性化を目指していきましょう!

JAPAN WOOD PROJECTは、サプライチェーンでつながる様々な事業者が参加し、地元での木材産業の活性化を目指している。本記事は想いでバトンを繋いでいくインタビューリレー記事第二弾。浜松木材工業さんに話を伺った。天竜の木材を守りたい、その魅力を知ってもらいたいという想いをJAPAN WOOD PROJECTでも広く届けていきたい。 第三弾の記事もお楽しみに。

関連記事▶JAPAN WOOD PROJECT 定例会レポート Vol.1|未来の林業体制を見据えて
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