社員の声で生まれた「F休(エフキュウ)」で、更なる働きやすさの向上を目指す

DATE : 2023.04.03
目次
アイジーコンサルティングでは生理前および整理期間中に体調不良を伴う場合に取得可能な「F休」が制定された。日本では世界に先駆けて1947年に生理休暇が法制化された。労働基準法第68条では「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定しているものの有給・無給は会社に一任しているため、厚労省の調査では「生理休暇」を有給としている会社は2020年時点で29%とまだまだ少ない。その中で、今回「F休」として特別休暇制度が制定された背景や経緯、これからのことについて、提案に携わった足立さん、恒川さんにお話を伺った。
この記事のPOINT
  • 導入の背景
  • 制度の運用と特徴
  • F休導入に対する社員の感想
  • 誰もが働きやすい環境づくりのために
この記事に登場する人
足立 潮美
株式会社アイジーコンサルティング  建築事業アイジースタイルハウス 施工管理
新卒入社後、新築事業部の女性現場監督として日々活躍する傍ら、「提案.curuプロジェクト」のメンバーの一員として、自らも意見を提案しながら会社をよりよくするために活動。
恒川 美奈子
株式会社アイジーコンサルティング メンテナンス事業部 企画課
企画課主任として、メンテナンス事業部全体の企画・広報の業務に携わる一方で、「提案.curuプロジェクト」の、メンバーとして、社員の声ひとつひとつに耳を傾け実現に向け尽力。

F休制度とは?

労働環境の整備と健康支援を目的に生まれた、生理日の就業が困難な女性が取得できる制度です。取得理由の言いづらさや、取得しづらさを排除するためにFemaleの頭文字を取って「F休」としています。労働基準法の第68条では「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合には、その者を生理日に就業させることは出来ない。」と定められており、日本では「生理休暇」を有給とするか否かは各企業の判断に委ねられています。厚労省の調査では「生理休暇」を有給としている会社は2020年時点で29%と少なく、また女性従業員から「生理休暇」の請求のあった会社は3.3%でした。アイジーコンサルティングでは、社員の声を集める「提案.curu」というプロジェクトでの提言から、有給とは別に特別休暇として「F休」の制度化が決まりました。 ▼提案.curuプロジェクトについては、こちらの記事をご覧ください。
▶「社員の想い・声を形に変える!」 提案.curu委員会とは~


F休制度導入の背景

F休提案から制定までの経緯や背景を教えてください。
足立

提案.curuプロジェクトに提案したことが、制度として形になる大きな1歩だったと思います。休暇制度についての提案ですので、提案.curuプロジェクトで可決された後に役員の許可が必要でした。役員会議に提案するための資料を作成する必要があり、提案.curuプロジェクトの女性メンバーと一緒に資料の作成や他社の事例を集めました。そこから役員会議で提案して、無事に許可をいただいて制定が決まり、全社的な落とし込みを行ったという経緯があります。

恒川

有給にするか無給かについても議論しましたね。法律では、有給にするかは会社に一任だったので。ただ、無給だとどうしても休みづらかったり、環境の変化としては弱いです。さらに働きやすい会社にしていきたいという想いで専務が後押ししてくださり、特別休暇としての休暇制度「F休」が制定されました。

どういったきっかけがあって、提案.curuに提言を行ったのでしょうか?
足立

2年に1回くらい本当につらいタイミングがあって、女性だから働きにくいという状況があることが心の奥で引っかかっていました。「平等に働く」という考えはあっても、「公平に働く」環境がないのではないか、と感じたんです。そのことを会社の外の友人と話しているときに、生理休暇の話を聞いて、提案してみようと思いました。

恒川

普段、「我慢」でやり過ごしていたことを、足立さんが提案してくれた一言によってほかの社員も言いやすくなったと思います。体調不良で辛い思いをしながら働くことで、集中力も低下しますし、生産性も下がります。我慢してしまったり、言いづらさのある内容なので、足立さんが声を上げてくれたことにまずは感謝です。

足立

私自身も提案.curuのメンバーとして取り組む中で、日々様々な提案が上がってくることを知っていたので、提案しやすかったです。また「F休」は女性ならではのことなので言いづらさがある方もいたと思いますが、そこもメンバーのことを知っているからこそ言いやすかったということもあります。

「F休」という名称にしたことも狙いがあるのでしょうか?
恒川

「F休(エフキュウ)」の方が呼びやすいと思うので、社内の浸透も早いかなと思っています。また、生理休暇といっても、生理前の体調不良など付随してくるので「生理休暇」と限定するのではなく「F休」という言葉を使うことに決めました。

社内の反応はいかに?社員の声を聴いてみた

社内のリアクションはいかがでしたか?
恒川

男性社員はやはり理解しづらい部分ではあったと思うのですが、提案.curuのメンバーは最初の提案があった時点からどうしたら形にできるかというところを考えているので、奥さんや身内に質問したりF休制度について自ら調べて理解を深めていました。この提案によってコミュニケーションが生まれたり、「考える」きっかけになっていたので、もし通っていなかったとしてもいい機会だったなと思います。

実際に社員に「F休」制度化について感想を聞いてみました。
社員A

私も、周期によって辛い期間があるので、「休んでいいんだ」と思えるだけで、心に余裕ができました。

社員B

身近な家族が、体調不良で苦しんでいる姿を見ていたので、このような休暇制度が制定されたことによって、女性の皆さんが無理せず働くことができるのは安心できるし、そういった1人1人の働きやすさに寄り添う姿勢のある会社であることを嬉しく思います。

社員のリアクションは良好ですね。理解・浸透のための取り組みは何かされていたのでしょうか?
恒川

役職者に対して、ユニチャーム様が企業向けに行っている勉強会を受講する機会を設けました。外部の会社からの説明によって、より客観的に理解してもらえたのではないかと思います。個人差や現場差があると思いますが、今後も全社員が働きやすい環境をつくっていくために、こうした機会は活用していきたいです。

足立

私の場合、現場に出る仕事で、前々から上司に相談していて、体調不良の場合の丸一日の作業は女性だけでは危険だと考慮してくださっていて、言いやすい関係ができていました。自分を守るために、という考えをもって、先輩や上司に相談してみるという1歩が大切だと思います。

誰もが働きやすい環境の先にあるもの

「働きやすい環境づくり」はどんな恩恵があるのでしょうか?
足立

まず、生産性に違いが出てくると思います。仕事以外の不安材料があるとどうしても集中力が下がったり、ミスが増えたりして、確認する時間が増えてしまいます。
「時間効率」という面で生産性が上がると思っています。
また、体調不良によって多少暗く見えてしまう瞬間があるかもしれません。特に、お客様と関わる仕事をしている方は、相手から見ると事情は分からないので、「この人暗いな」という印象になってしまいます。元気に対応できるタイミングで仕事をした方が、お客様の満足度も上がるはずです。
最後に、これから入社を考えている学生さんは私たちよりさらに新しい考え方を持っている方が多いと思いますが、「働きやすさ」を特徴の一つとしてアイジーのことを知ってもらうきっかけになったらいいなと思います。

恒川

周囲に迷惑をかけてしまうからと体調不良を我慢してしまうのはいい環境ではないですよね。今回は生理に伴う体調不良についてでしたが、腰痛や頭痛など個人の不調はそれぞれあると思います。働きやすい環境を整えることで、まずは相互理解ができるようになってきます。
また今回のような休暇制度に関しては、お休みする分どう補って仕事を進めるかを考えて働くと思いますが、制約があるからこそ知恵が生まれる部分もあるはずです。特徴や得意分野を理解しあうこと、助け合いと活かし合いができる環境ができたら、きっともっと新しいアイディアや質の高いサービスを生み出せると思います。
自分たちの制度は自分たちで活用して発展させていくという考えの社員が増えて、そんな考えを持った会社になったらいいなと思います。

理想の働き方について、考えを教えてください。
足立

それぞれが働きやすい働き方ができたらいいなと個人的には考えています。自分が大切にしていること、例えばスポーツをやっている人、芸術関係で活躍している人、仕事以外にも人生で大切にしている時間や価値観を持っている人はたくさんいて、それは人それぞれです。色々な人が色々な働き方をして、それをみんなが発信していったら面白い会社になっていくと思います。

恒川

足立さんがおっしゃったように、色々な価値観や個性があるからこそ、様々な発想が生まれます。仕事が第一でも、家族が第一でもいいと思います。個人的には、フレックスがもっと進んだらいいなと思っています。その代わり、みんなが集まる時間、コミュニケーションの時間はしっかり設けて、メリハリのある働き方を探っていきたいです。これから入ってくるメンバーの挑戦を応援するといった意味でも、どんどん社員の意見を吸い上げて、会社が発展していったら理想ですね。

この記事のまとめ

今回、新たな休暇制度が導入された。社員の声から提案が生まれ制定に至ったわけだが、より良い環境で自分が働きたいというよりも、「誰かのために」「会社がより発展していくために」という考えを根本に感じる。今後、「働きやすさ」をもっと突き詰めていった暁にはどんな会社になっているのだろうか。変化をいとわない姿勢を忘れず、今後も社員全員で挑戦していきたい。

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