ピンチはチャンス?「現場品質日本一」に込められた想いの裏側に迫る

DATE : 2022.07.14
目次
2022年、アイジースタイルハウスは「現場品質日本一」という合言葉を掲げ、建築工程の改革に乗り出した。
こう書くと、いわゆる”元請工務店”であるアイジースタイルハウスが主導し、協力業者の管理を徹底する…というイメージを持たれるのではないだろうか。
しかし、取り組みの経過を見ていると、そういった趣旨ではないことが分かってきた。
取り組みの背景には、どんな課題があったのか?
そして、取り組みを通して目指すゴールはどこなのか?
事業責任者の立田さんと、工務責任者の吉田さんに話を聞いた。
この記事のPOINT
  • アイジーが標榜する「現場品質日本一」とは、施工品質・現場美化・職人の心・付加価値が日本一になること
  • 現実と向き合ったことで、ビジョンを失っていたことに気づけた
  • 新しいビジョンは「六方よし」!最強のチームで最高の現場をつくる!
この記事に登場する人
立田裕樹
株式会社アイジーコンサルティング 常務取締役
入社後、メンテンナンス事業・耐震事業を経て、住宅事業部を立ち上げ。現在も事業責任者として関わる。
最近は伊勢エビ釣りに凝っている。
吉田俊介
株式会社アイジーコンサルティング 工務課 課長
施工管理・現場監理ひとすじの工務責任者。理論だけでなく「心」をとても大切にしている。
最近はウツボ釣りに凝っている。

施工品質・現場美化・職人の心・付加価値、4つの要素で日本一を目指す

「現場品質日本一」とはどういう状態ですか?
取材班

アイジースタイルハウスの「現場品質日本一」では、具体的にはどのような品質を目指しているのですか?

吉田

品質を測る要素はいろいろありますが、私は4つの要素を特に重視しています。

1.施工品質
2.現場美化 
3.職人の心(心の価値、プライド)
4.付加価値(職人さんの収入など経済的価値)

この4つの要素をすべてを「日本一」にしていくのが、「現場品質日本一」です。

取材班

それぞれの項目について、具体的にどういう状態だと「日本一」なのでしょうか?

吉田

「施工品質」については、現在取り入れているNEXTSTAGE(建築現場の第三者品質監査)の評価で日本一になることです。

「現場美化」は、建築中の現場の整理・整頓・清潔です。お施主様は当然として、作業に入るすべての関係者・職人・協力業者はもちろん、近隣の方からも「キレイな現場だね」と評価して頂けることです。

「職人の心」は、目に見えない心の価値、プライドと言ってもいいかもしれません。日本一高い志と、誇りをもった職人集団を意味します。

「付加価値」は、これらの要素を達成したうえで得られる経済的価値のことです。もっと具体的に言うと、職人さんの収入を日本一にするということです。お客様から適正な対価としてお支払い頂いたものを、しっかり職人さんへ還元していく。職人さんの生活向上も達成していくことを目指します。

これらの要素について、アイジースタイルハウスのメンバーも、そして協力業者の皆さんも、「すべて日本一だ!」と言い切れる状態にすれば、間違いなく日本一になると思っています。

逃げずに現実と向き合うことで得た気づき

今、改めて「現場品質日本一」に着手した背景とは?
取材班

アイジースタイルハウスでは、以前から現場美化に力を入れたり、協力業者会「アイジーワークス」を運営したり、現場品質にはこだわりがあったと思います。
今、改めてこの取り組みをはじめたのには、何かきっかけがあったのですか?

吉田

たしかに、かつては「日本一」と胸を張って言える状態だったときもありました。
しかし、ここ3年間くらいの変化で、胸を張って「日本一」とは言えない状態になっていたんです。

振り返ってみると、現場と物理的・心理的な距離ができてきてしまっていたのだと思います。現場監督のメンバーが育ってきたこともあって、現場に関することをすべて任せたいという思いがあったのですが、今になって思うと「任せる」というよりも「放置」してしまっていたのだと思います。
加えて、コロナ禍で「アイジーワークス」の運営もZoomが中心になりました。
それまでは、定例会の後に職人さん達と食事に行って、その場で腹を割ったコミュニケーションを取ったりしていたのですが、そういう機会もなくなってしまいました。

・・・とまぁいろいろ理由はありますが、
根本的には、私自身が現場をどういう風にしていきたいかというビジョンを見失っていたことが大きいです。「日本一だ」と皆で思えていた時期があったがゆえに、「このままいけばなんとかなるだろう」という惰性的な考えになってしまっていました。

立田

事業部全体で見ても、お客様から施工のご依頼をいただく件数が増えたこともあり、現場の体制を強化することは喫緊の課題でした。

そこで、私自身も現場へ足を運び、職人さんと対話を重ねていったのですが、理想と現実の乖離を実感しました。
価値ある仕事をしていると言えるのだろうか?
「プロセス」も含めて胸を張れなければ本当に「いい家」と言えないのではないか?
そう思い至り、2022年1月のアイジーワークスから私自身も入って、改革を進めている真っ最中です。

個人の想い、会社の強み、自社の課題、社会問題。4つの要素が組み合わさったときにビジョンが見えた

取材班

事業が成長したがゆえの、新たな課題でもあったんですね。

立田

そういうことです。
ただ、もっと先には「職人不足の深刻化」という課題があります。
今回の改革は、施工品質を高めるという課題にとどまらず、職人不足という課題にも向き合っていくことを目指しています。

旗印として「日本一」という言葉を使っていますが、アイジースタイルハウスが現場品質日本一になるというのはアイジー都合の話で、協力業者さんや職人さんにとっては正直どうでもいいことでしょう。

でも、「製造プロセス」が正当に評価され、価値に繋がるとしたらどうでしょうか。
製造プロセスというのは、建築現場でお家を創り上げていく過程、つまり、職人さん・協力業者の皆さんや、アイジーの現場監督の仕事のことです。
プロセスがきちんと評価されるということは、職人さんの評価が高まるということです。
職人さんの評価が高まるということは、職人さんが仕事を取りやすくなり、収入も上がるということです。

もっと発展して考えると、子どものなりたい職業No.1に「大工」が上がってくるくらい、「職人」という仕事を人気職種にしたいなと。
ここまで到達させるのが、今回のゴールです。

こういう状態になると、工務店として住宅の性能競争・価格競争から抜け出せるきっかけになり得るんです。
すでに住宅性能が高いことは当たり前になりつつありますし、それを低コストで実現するようなビジネスモデルや建築工法がどんどん出てきています。「住宅」という完成品だけで勝負してもほとんど差がつきません。
そこで、製造プロセスを価値に変える、つまり「職人さんの価値向上」に本気で取り組もうと思ったんです。

取材班

「職人さんの価値向上」がゴールで、そのための「現場品質日本一」ということですね。
ビジョンが壮大にも思えますが…

立田

いえ。私は、これこそアイジーコンサルティングしかできないことで、私自身がやるべき仕事だと確信しています。

アイジーコンサルティングは120年以上にわたってシロアリ防除事業に取り組んできました。今でもメンテナンス事業部の社員の半分以上が施工や点検に携わっていて、まさに職人集団です。時代の変化に合わせてやり方を変えながら、業界トップレベルのサービス・人材育成・採用を一貫して実行し、お取引頂いている工務店さんやそのお客様から正当に評価を頂いています。

これを他の職人さんとも共有したいんです。
いわゆる「現場仕事」は、若いころにやんちゃをした人が転がり込んできて、そのままだとなかなか仕事や生活を上げていくことが難しいのが現実です。加えて効率重視の家づくりが主流となり、工業化・工場化が進んでいます。こうなると職人さんは「現場の作業員」としての価値しかなくなってしまう。すると、職人をやろうという人は減っていく…
この悪循環を断ち切って、現場仕事を「まっとうに評価される仕事」にしたい。
手仕事の「美学」を持っている人が正当に評価される仕組みをつくりたい。
カッコいいし、経済的にも潤うにはどうするか?

私にとってのその答えが「職人さんの価値向上」だったんです。
・個人的な想い
・会社の強み
・自社の現場危機という課題
・職人不足という社会課題
この4つが完全に合致しているんです。

「素早い改善の実行」と、将来に向けた「学び」を、両立できるチームを目指して

着手レベルでは、具体的に何に取り組んでいますか?
取材班

今、改革に向けてどのような着手をされていますか?

吉田

今の重点施策として、「専門部会」の取り組みがあります。
その場で判断できることはスピーディーに判断できる仕組みをつくることが目的です。

※参考|【レポート】第2回 アイジーワークス 大工会が開催されました

今までは、協力業者さん全員が集まる「アイジーワークス」1本だったのですが、大工さん、左官屋さん、電気屋さん、水道屋さんなど11業種についてはそれぞれのコミュニティに分けることによって、具体的な話ができる場を運営しています。

専門部会では、専門的なこと、細かな要望・改善提案を徹底的に話し合うことを。アイジーワークスの全体会では、現場づくりや、全員にとって学びになることをテーマにしています。

取材班

全員にとって学びになることとは、例えばどういうことですか?

吉田

どの業種にも共通して必要で、かつ学ぶことでレベルアップできることです。
安全講習など現場の安全に関わることのほか、人間力に関する勉強会にも力を入れていきたいです。
外部講師の力を借りて、建築業界の最先端の取り組みを学ぶ勉強会も企画しています。

※参考|【インタビュー】株式会社NEXTSTAGEの講演を通して、協力業者の未来を思う


今までもアイジーワークスで協力業者さんとコミュニケーションを取っていたつもりでしたが、こちらからの一方的な情報発信になりがちで、「なぜ、この取り組みをやるのか?」という意図が伝わりにくいことが多かったです。

今回は、本当に職人さんのためになる取り組みだという確信があるので、「なぜ」という理由を、双方向のコミュニケーションを通してしっかり伝えていきたいです。

立田

職人さんにとって、視野を広げてもらうきっかけとして、アイジーワークスを活用してもらえるような運営をしていきたいです。

同じ仕事をずっとやっていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。
職人さんとしても、技術力を磨くだけでは仕事がとれない実感があると聞きます。
仕事が取れるかどうかは、その人個人の「対人能力」と「スタンス」にかかっています。
目先のことも大切ですが、一方で自分達の価値を上げていく必要がある。

そのためには、外部の知識・情報を得ることが欠かせません。
アイジーワークスに出ることで、「あ、こういうやり方をすれば、俺は一生食っていけるな」というイメージを持ってもらいたいですね。
アイジーの仕事をやることで、職人さんが自立できる。アイジーにとってもブランディングになる。この状態が理想です。

吉田

「六方よし」という考え方が好きで、それを目指しています。

近江商人の「三方よし」をさらに広げた考え方で、
・売り手よし
・買い手よし
・作り手よし
・世間よし
・地球よし
・未来よし
の6つです。

誰にとってもプラスになることを考え行動することが付加価値になります。
逆に、関係者のうち誰か1人でもダメだと、いつか必ずほころびます。

会社として「六方よし」を考え行動するにとどまらず、職人さんも「六方よし」で考え行動することできて、監督も「六方よし」で考え行動することができれば、最強のチームになれるなと。
それを目指して一歩ずつ改革に取り組んで行きます。

この記事のまとめ

自社の変化や環境変化によって、ビジョンを見失ってしまう時もある。
しかし、そうした状況から目を背けず、1人1人の職人さん・社員と向き合い、1件1件の現場と向き合ったことで、次に目指すべきステージを見据えることができたのが、今回の「現場品質日本一」という旗印だった。
職人不足に悩む建築業界と、手仕事を生業にする「職人」にとって、希望となる取り組みへと育っていくのか、引き続き取材していく。

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