R&Dプロジェクトが世界を変える!|アイジーグループアワード特集

DATE : 2024.01.09
目次
2023年10月5日におこなわれた「IG GROUP AWARD(以下アワード)」。最終選考にノミネートされた5つのプロジェクトのうち、メンテナンス事業の新たな商品やサービスを開発している「R&Dプロジェクト」に取材をおこなった。

商品の選定から始まったプロジェクトが、研究開発にまで領域を広げ突き進んでいる。アワードの発表ではシロアリの生体研究の発表から昆虫食の可能性まで、多岐に渡る取り組みの発表がなされた。日本全国、ひいては世界のシロアリ業界へインパクトを与える可能性を秘めたこのプロジェクトについて、具体的な取り組み内容や参加メンバーの想いを伺った。

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一度目の創造を、アワードで。第二回目アワードを、役員はどう見る?
この記事のPOINT
  • アワードは研究発表の場。R&Dプロジェクトが日の目を見る絶好の機会!
  • 今あるものだけではなく、市場にも無い新たなものを作りだす
  • データの蓄積が、根拠のある提案に変わる
  • 将来は事業部横断で研究開発が行えるように
この記事に登場する人
牧田直也
アフターサービス課 課長
2002年入社
シロアリ防除工事を主とした住宅の定期点検をおこなうアフターサービス課で浜松・三河エリアを中心に従事し、現在はアフターサービス課の責任者を担う。
趣味はランニング。浜松シティーマラソン参加経験もある。
稲葉正明
名古屋南店 主任
1996年入社
大学時代は農薬科学の研究に取り組み、動物を使っての毒性試験などに取り組む。
大学での経験を活かし、研究開発の人員を募集していた井上シロアリ研究所(現:アイジーコンサルティング)に入社。
趣味はゲーム。シロアリ薬剤散布の練習も兼ねてスプラトゥーン3で遊んでいる(笑)
相川祐也
横浜支店 アフターサービス課 主任
2007年入社
神奈川エリアを中心とした関東地方の施工を担う。
神奈川エリアのアフターサービス課チームを導く頼れるリーダー。
趣味は楽器演奏。コーヒーを淹れるのが得意。
櫻井遥哉
浦和店 アフターサービス課 リーダー
2018年入社
アフターサービスとして施工を実施する傍ら、新人教育・研究開発等のプロジェクトでも活躍中。
ITに強く、社内アプリの製作にも携わっている。

アワードの感想と、プロジェクトの成り立ち

研究発表の場として活用し、社員への認知を高めていく

取材班 まずはアワードでの発表、お疲れ様でした!皆様の率直な感想をお聞かせください。

稲葉さん アイジースタイルハウスのJAPAN WOOD PROJECTなどはコラボできるんじゃないかな?と思いながら話を聞いていました。例えばシロアリが廃材を分解したり、バイオエタノールを生成して燃料代わりに使えばCO2削減に繋がるので、組み合わせるともっと面白いことが出来そうだなと思います。

相川さん 私も稲葉さんと同じく、他の取り組みとコラボしたら面白いんじゃないかと思いました。床下環境のデータやドローンを使った点検などは、メンテナンス業以外にも活かせる分野だと思うので、私たちの取り組み内容が各事業の運営に役立てば嬉しいですね。

あとは新しいメンバーも募集しているので、更に人を増やして幅広い取り組みを行うことにより、来年のアワードでも受賞できるようなプロジェクトにしていきたいです!

櫻井さん R&Dプロジェクトとして、このアワードは成果報告・発表の場だと思っています。水面下で動いている事も多いので、こうやって人目に触れ、みんなからコメントをもらえたり社員の反応を知れることで、それが励みになっています。

牧田さん 私もアワードは研究結果の発表の場であるという感覚があるので、私たちの発表を見て興味を持った方がいれば新たに参加してくれるとありがたいですね。あとは発表できなかった、つまり埋もれた研究結果みたいなのも結構あるんですよ。そういったところも見てもらえるようになると嬉しいですね。

取材班 ありがとうございます。アワードでの発表を見ていて、非常に先進的な取り組みを行っているという印象を受けました。元々そういった目的のもと立ち上がったプロジェクトなのでしょうか?プロジェクト立ち上げの経緯などを教えてください。

牧田さん 元々は「R&Dプロジェクト」ではなく「商品選定プロジェクト」という名前でやっていました。メンテナンス事業部の今ある商品の見直しをしたり、新たな商品を入れていく場合に、どの商品が良いのかをちゃんと調べる、という目的で始めています。

プロジェクトを進める中で「今あるものだけではなく、現在市場にも無い”新たなもの”を作り出していった方が良いのでは?これこそがあるべき姿ではないか?」という考えが出てきて、研究開発・商品開発にも着目していくことになりました。そのタイミングで「研究開発=R&D(Research and Development)」という名前に変更しました。

取材班 徐々に検討領域を広げていかれたんですね!

牧田さん そうですね。プロジェクトを作る前から、使用する薬剤の見直しなどは行われていましたが、業界の研究開発が進めばより効果が高く安全なものが生み出されていくので、そういった情報にもアンテナを張っていこう、という目的もありプロジェクト化していきました。

取材班 プロジェクトメンバーの皆さんはどういう経緯でプロジェクトに参加されたのですか?また、このプロジェクトにおいてご自身の力をどう活かしていきたいとお考えですか?

相川さん 私は牧田さんが立ち上げた前身のプロジェクトに手を挙げて参加したところから始まりました。私が勤めている横浜には、アメリカカンザイシロアリという外来種のシロアリがいるんですが、対策に困っていまして・・・予防が出来ないので、中には新築で家を建てて3年で出てしまうようなお家もありました。このアメリカカンザイシロアリを何とかしたいと思い、プロジェクトに参加しました。

取材班 アメリカカンザイシロアリの生体研究が進み、予防できるようになれば、シロアリ業界に大きな影響を与えられそうですね!

相川さん そうですね!あとは、元々分からないことは分かるようになるまで調べることが好きなので、楽しんでやっていますし、そういう自分の性格もプロジェクトに活かしていけたら嬉しいです。

櫻井さん 私は牧田さんからお誘いをいただいて参加しました。向いてそうじゃない?って言われましたね(笑)私自身かなりの心配症なので、お客様に何かを説明するにあたっても、知識や根拠となる裏付けを元にしっかり準備をしたいという思いがあります。そのためにも知識を得たいと思っていたので、このプロジェクト入ってよかったです。

あとは、ガジェットが大好きなので、多種多様なツールやアプリを用いたIT化・DX化には興味があります。そういう点で自分の力や知見を発揮していきたいです。

取材班 牧田さんは、櫻井さんのどんなところがこのプロジェクトに向いていると思いましたか?

牧田さん 櫻井さんは今までも自分で何かを始める時や、新たな企画を動かす時に、主体的に調べて完成まで持っていく力がある方なので、このプロジェクトと相性がいいだろうと思ってお誘いしました。その期待にもちゃんと応えてくれています。

稲葉さん 私は大学の時に農薬の研究をしていたので、研究開発分野にはずっと興味がありました。アフターサービス課のベテランメンバーの新しい働き方として、研究開発といった道もあるんじゃないかと思いましたし、アイジーコンサルティングの価値をもっと上げていきたいという思いがあったので、参加することにしました。あとはこのシロアリ業界自体が後進的だと思っていて、IT化やDXが進んでいる自社ならば、リーダーシップをとって業界を変えていけるんじゃないかなとも思いました。

取材班 農薬の研究をされていた経験は、今進めているシロアリの研究にも活かせそうですね!

稲葉さん そうですね。この会社に入社したのも社名が『井上シロアリ研究所』だった時代でして、当時はちゃんとした研究所はありませんでしたが、このR&Dプロジェクトなら研究所も作れるくらいのことが出来るんじゃないかとワクワクしています。入社25年以上経ちましたがやっと夢が叶いそうです。

プロジェクトの取り組み内容について

当たり前の認識に、数値の根拠を示す

取材班 今R&Dプロジェクトで進めていることを、もう少し具体的に教えてください!

相川さん 薬剤の選定や、ご提案する断熱材・床下換気扇・湿気対策商材の効果を調べるところが基本路線で、あとは床下ドローンの共同開発や、シロアリを育成して生態を掴む研究なども行っています。

参加メンバー個人に担当を割り振り、ミーティングの場で進捗報告をする流れで進めています。凡そ月1回ほど集まり、個人が持ち寄った進捗を見ながらみんなで意見を出し合っています。

R&Dプロジェクトのミーティングの様子
シロアリを育成しているケース

取材班 床下に使用する商材の効果分析は、どのように行われているのですか?

相川さん 社員の家をお借りして、実践形式の効果分析をしています!

例えば「玄関ホールのような外気に触れやすい場所は湿気が多い」というのは、理論上当たり前だという認識なんですね。そういう当たり前を数値化するために、床下に温湿度計を設置して2時間ごとの計測データをとってみました。玄関と通気のいいリビングを比較すると温湿度の変化が異なり、玄関の方が湿度が高という数値データで取得できました。当たり前の認識であったことに対して、更に数値的な根拠を得ることができました。
他にも、床下の湿気対策商材の一つに炭を敷く方法があるのですが、市販の炭と自社で提案している炭で、床下の温湿度にどのような変化が出るのか数値をとったり・・・ただデータをとるだけでなく、商品提案の内容にもデータを活かしています。例えば床下環境を数値的に理解することで、湿気対策商材をご提案する時にも設置量を適正化できるようになります。お客様にもご予算がある中でのメンテナンスなので、予算オーバーで対策を諦めることがないよう、設置量や設置場所の調整にデータを活かすことができます。

取材班 なるほど、数値化することでより根拠の高いご提案に繋がるのですね!先ほどお話にあった「床下ドローンの開発」について、開発を進めるに至ったきっかけを教えていただけますか?

牧田さん まず一つが、点検員の身体的負担を減らしたいということですね。腰を痛めてしまった点検員は、床下に潜っての点検作業が難しくなってしまうのですが、そういった方でも床下ドローンを使うことで身体の負担を少なくすることができます。

もう一つは、点検人員の幅を広げるという目的です。床下点検は着替えが必要なので基本的に男性が担っていて、尚且つ体力のある若手社員に偏っています。でも床下ドローンがあれば世代・性別に関係なく点検ができるようになります。個の適正に合わせて仕事を分担できるようになればと思い、調べているところです。

R&Dプロジェクトがもたらす価値

シロアリ業界のパイオニアとして、業界を先導していきたい

取材班 瀧澤社長と井上専務からは、研究開発の分野はアイジーコンサルティングの価値を高める先進的なプロジェクトだというコメントをもらっています。私たち一般社員から見ても、将来的に大きな発展に繋がりそうなプロジェクトだという認識があるのですが、プロジェクトメンバーの皆さんはどう捉えていますか?

相川さん シロアリ業界のパイオニアとして、自主的に研究開発していく姿勢は絶対必要だと思っています。すぐ結果が出る取り組みでは無いことも多いですが、継続することで自社の強みを作っていけると思うので、大きな価値に繋がるプロジェクトだと信じて取り組んでいます。

稲葉さん 私は、日本しろあり対策協会の理事をやっている立場だからこそ、シロアリの研究発表などにアイジーコンサルティングの名前を連ねることはとても大事なことだと思っています。更に私たちの技術を全国・世界に展開していく未来を見据えて、学術的な知見とデータを世界へ提供できるようになりたいと考えております。特にシロアリって情報が非常に少ないんです。論文は沢山あるんですが、映像資料などは全然ないので、R&Dプロジェクトで蓄積していきたいです。将来的には学会発表のような場に出ていくことで、アイジーコンサルティングがもっと広く認知されていくと嬉しいです。

取材班 研究が進み、シロアリについて新たな知見を得られることができれば、本当に全世界のシロアリ業界が変わるきっかけになるかもしれませんね。櫻井さんはいかがですか?

櫻井さん 私としては、調査で得た情報を精査・蓄積し、実際の点検・施工業務に活かしていくことが重要だと捉えています。あとは、このプロジェクトでIT化やDXにもどんどんチャレンジしていきたいです。私たちはシロアリ業界のパイオニアとして始まった会社ですけれども、その歴史だけで続けていける仕事ではないと思っているんですね。時代の流れは早いですし、業界そのものも決して先進的ではないので、私たちがITを取り入れ業界を変えていく側でありたいです。床下ドローンもそういった思いで採用していきたいと考えていました。

取材班 R&Dプロジェクトが今後目指していくところを教えてください。

相川さん その物事や事象の原理原則を理解するプロジェクトである、というのをテーマに取り組んでいまして、そのためにも商品や建物・床下環境のデータを自分たちで調べて、お客様に根拠ある提案ができるプロジェクトでありたいと考えています。

またシロアリの飼育研究は、社員がシロアリの生態を正しく理解するところにも繋がる事に気付きました。お客様への価値提供に合わせて、社員の教育にも活かしていける取り組みもしていきたいです。

取材班 牧田さんはこのプロジェクトの創設者ですが、今後の発展をどのようにお考えですか?

牧田さん アイジーコンサルティングは、業界の先駆者として新たなものを作っていく・先導していく役割だと捉えているので、そこを担えるような研究開発や商品開発をやっていきたいと思っています。現時点で商品開発には至っていませんが、手前の準備まで進んできています。着実に進めていくことと併せて、先ほど稲葉さんが仰ったように研究結果を外部に発表することもやっていきたいですね。

取材班 なるほど。将来的にはプロジェクトに留まらず、研究開発事業部みたいなものが作れそうですね!

牧田さん R&Dプロジェクトが収益に繋がるところまで活動できるようになれば、その未来もあり得ると思います。出来ればメンテナンス事業部だけでなく、建築・不動産事業部とも共同研究・開発ができるようになりたいという思いはあります。

取材班 確かに、建築・不動産事業部が加わることで住宅メンテナンスに付随する様々な観点での研究や商品開発が出来そうですね!

牧田さん そうですね。それこそ建築資材や建材の効果分析をしたり、新たな資材を作っていくというチャレンジもできると良いですね。まだまだハードルが高いですが、頑張っていきたいところです。

相川さん このプロジェクトは、失敗が当たり前についてまわるんですよね。様々な実験もやっていますが、失敗して、もう一度チャレンジして、ということを繰り返してやっていくので、データ取りが成功したり、それこそシロアリの飼育が成功した時なんかもすごく感動するんです。「ああ、頑張ってよかったな」って。それなりに時間や手間を費やすので、失敗するとへこむことも多いですが、それでももう一度頑張ろうと思えるのは、自分たちがこのプロジェクトの価値を感じているからなんですよね。失敗はゼロではなく、”失敗したという成果”だと捉えているので、どんどんチャレンジできるんだろうなと思っています。

牧田さん 最後に一つお伝えしたいことがありまして・・・R&Dプロジェクトって”シロアリを育てるチーム”みたいな印象かもしれないですけど、共同開発や商品開発といったところにもチャレンジしていて、新たな価値を創造するすごいプロジェクトだという自負があります。他企業とのコラボレーションなども挑戦していく予定なので、オープンイノベーションや共同開発などに興味がある人は、是非R&Dプロジェクトに来てください!お待ちしています!

この記事のまとめ

アワード発表の場においては、その規模感の大きさに圧倒されるプロジェクトだったが、実際にはコツコツと調査や実験を繰り返し、多くの失敗を糧にしながら愚直に取り組んでいるプロジェクトであった。メンバー全員がこのプロジェクトの可能性を信じ、業界をより良くしていこうという信念を持っているからこそ続けられるのだと感じた。また、根拠ある提案をしたいという思いは、目の前のお客様に誠実に向き合いたいという姿勢の現れであると受け取った。アイジーコンサルティング創業の理念がここにも深く根付いている。R&Dプロジェクトの今後の発展と、シロアリ業界の変貌に期待したい。


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