株式会社アドテクニカ× アイジーコンサルティング | 関東大震災から100年 今考える災害対策 

DATE : 2023.09.19
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目次
1923年(大正12年)9月1日に発生し、南関東および隣接地で大きな被害をもたらした関東大震災。死者・行方不明者は推定10万5000人で、明治以降の日本の地震被害としては最大規模となった。今年はその関東大震災から100年の節目の年だ。 2020年コロナ発生に続き、ここ数年、各地での地震発生や、台風や異常気象による災害など、私たちを取り巻く環境も大きく変化し、また「災害対策」「BCP」の重要性が年々高まっている。 今回、法人向けに1200社以上の導入実績をもつ次世代型BCPプラットフォーム「安否コール」サービスを提供しているアドテクニカ代表取締役下村様(以下敬称略)と、弊社災害対策本部を担当する取締役森下の対談が実現。 実際の取組み事例をもとに企業活動における「災害対策」について考えていく。

▶【株式会社アドテクニカ】(https://www.adtechnica.co.jp/)

この記事のPOINT
  • 災害対策・BCP対策について考える
  • 有事の際に優先べきは安全確認・安全確保
  • システムを活用し正しい情報を取得する
  • 時代に合わせて安否確認システムも進化する
この記事に登場する人
下村 聡さん
株式会社アドテクニカ
代表取締役社長
静岡県静岡市出身。東京都内のグラフィックデザイナー専門学校に進学。当時インターネットの急速な拡大に伴うIT業界の成長に注目し、卒業後は都内のシステム開発会社へエンジニアとして入社。2000年に静岡に戻り、家業である株式会社アドテクニカへ。インターネット関連事業の拡大に尽力した後、2015年に代表取締役社長に就任。
森下 真彦さん
株式会社アイジーコンサルティング
総務担当役員
アイジーコンサルティング管理部門責任者。1999年入社。シロアリ事業・耐震事業を経験後、本社にて全社管理業務に従事。企業規模や労働環境が変化する中、最適な管理体制を構築し社内の安定と社員の安全管理に努めている。

BCPのプラットフォームとは

安否確認システムで安否確認を素早く正確に

森下 今年の9月1日で関東大震災から100年が経過しました。コロナ発生に続き、ここ数年、各地での地震発生や、台風や異常気象による災害なども多く、「災害対策」「BCP」の重要性が年々高まっているのを感じ、弊社でも強化していきたいと考えています。

御社で取り扱っている安否確認システム「安否コール」は、BCPのプラットフォームですよね!

下村 はい。当社は創業時より培ってきたマーケティングとテクノロジー開発の両輪で、顧客に対し新しいコミュニケーションの効果的な在り方を提案し、その支援サービスを展開しています。
実はこの「安否コール」の開発も、開発のきっかけは私たちの本社のある、防災先進県静岡の大手国際物流企業のユーザからの要望が始まりなんです。

森下 そうなんですね!詳しく伺っても良いですか?

下村 はい、社会的にBCP(Business continuity Plan)
が問われるようになったのは、実は2005年まで遡るんですよね。総務省が大手企業を対象にBCP策定のガイドラインを打ち出し、日本国内で災害対策についての動きが加速していきます。実は私たちが安否コールを開発した2007年には、すでに多くの大手企業が安否確認システムのサービスの提供を行っていました。

その中で、「現在出ている安否確認システムの中で、当社のBCPに対応するサービスが無いため一から開発してほしい」という依頼を受け、仕様の打ち合わせを重ね完成させたのがこの「安否コール」です。
サービス開発できた事実と併せて、ご要望をいただいた大手企業様の災害対策・危機意識に対する考え方を体現できたことは、当時の社内でも大きな経験となりましたね。

※BCP(Business continuity Plan)
企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画。

森下 昨年は静岡県でも水害があり、一部地域でライフラインが遮断されるなど甚大な被害が出ました。また各地で集中豪雨による河川の氾濫や洪水なども発生しており、災害対策の重要性を強く感じています。弊社でも対策を強化しなければと危機感を持っていますよ。

2022年9月 台風15号の大雨被害直後の様子 静岡市内(自社社員撮影)
2022年9月 台風15号の大雨被害直後の様子 静岡市内(自社社員撮影)

下村 私もこの「安否コール」開発を通して様々なことを学びました。災害発生時、まず初めにしなければならないのは安否確認ですよね。そして、安否が確認できたら、その周辺の道路・建物の状況はどうなのか、ライフラインはどうなのかの状況把握です。災害時には電話回線がパンクし繋がりにくくなります。その点、アプリであれば位置情報も特定でき、またその人たちが周囲の状況を写真に撮影してアップすれば、ハザードマップができるんです。

現状把握がスピーディーにできれば、やるべきことが明確化されるので、素早く行動に移すことができます。大手企業様は、このあたりの計画想定をしっかりとされていましたので、アプリ開発にも反映させた形です。
緊急時において事業継続させていくにも、このような安否確認システムをぜひ活用してほしいですね。

BCP対策への関心を高める

情報共有・情報発信はBCP対策の第一歩 

森下 中小企業庁の発表によると、中小企業におけるBCP策定状況において「策定している」と回答した企業はわずか15%に留まっています。策定しない理由については「策定するノウハウ不足」が一番に上がっていました。弊社も様々な取り組みを行っていますが、現状明確な形でBCPが策定できているかと言われるとNOと答えざるを得ません。
弊社ではBCPに繋がる取り組みのスタートとして御社の安否確認システム「安否コール」を導入させていただきました。すでに関東での中規模地震発生の際に、安否確認を実施するなど、安否確認導入をきっかけに社員の意識も少しずつですが変化してきています。いきなり全てを計画することは難しいかもしれませんが、一歩ずつ進めていきたいと思っています。

下村 「安否コール」の活用、ありがとうございます。やはり有事の際の安否確認・状況把握は重要ですよね。弊社も多くの企業様に導入いただいていますが、BCP対策のきっかけ・とっかかりとして導入していただくケースは多くあります。またBCP策定において何から着手してよいかわからない、そんな声もよく聞きます。
そこで、安否確認システム開発を通じて得た様々なノウハウや取引企業様のBCP対策の活用事例など、BCPや安否確認に特化した情報を、自社の得意な分野で特に広く社会に提供したいとの想いでマガジンサイト「安否確認MAG(※2)」を立ち上げ、情報発信を行っています。よろしければぜひご参考ください。

安否確認システム「安否コール」
安否確認MAG
※2 安否確認MAG
災害時の快適なコミュニケーションを目指す企業や団体向けのマガジン。
安否確認MAG

森下 ありがとうございます。御社の知見が集約されたサイトですね。BCPは特に関心が高く重要なことと認識していますが何から着手したらよいか知見不足を感じています。このような情報提供いただけることは一企業として非常にありがたいです。

下村 情報を少しでも多く共有することが何よりも大事だと思っています。今後はますます情報が価値あるものになると思っています。「安否コール」というサービスを通じた社会貢献に留まらず、BCPや災害対策についてより各社様のサポートが出来ればと考えています。

今後のBCPと企業としてあるべき姿

建築業界におけるBCPにおいて被害状況の把握は欠かせない

森下 御社は「安否コール」を通じて、様々な企業様のBCP対策の一助を担っていると思います。私たちは建築業界におりますが、特に建築業界でのBCPについて、どのようなことを取り入れると良いと思いますか。

下村 そうですね。やはり災害はいつ発生するか誰にも分かりません。日中現場が稼働している時の災害発生も想定しなければならないと思います。それを考えた際に重要なことは、現場で作業している職人さんも巻き込んだ安全対策と、安否確認の体制構築だと考えています。
例えば弊社を含めた安否確認ツールの利用において、自社の社員に留まらず、協力業者である職人さんにもサービスの利用を徹底する。業界的には「安全管理費」などを職人さんから徴収しているケースも多いと思いますので、その費用の範囲内でサービスを利用することも出来ると思います。いざ、災害が発生した際には位置情報を活用した安否確認や情報共有で、「どの地域で」「どのくらいの災害が」発生しているのか把握し、その後の対応に速やかに移ることが可能です。また必要に応じて、必要な場所に人員を派遣することもできると考えています。

森下 社員とその家族に留まらず、職人さん、取引業者様との共有ですね。安否確認はもちろんのこと、確かに建築中の現場の状況はどうなのか、お客様からご依頼いただいている工事を予定通り行うことができるのか。事業継続には欠かせない部分です。
お恥ずかしながら弊社では社員の家族に対する安否確認システムの利用促進もまだ十分ではありません。まずはそこの徹底を行うとともに、職人さん・取引業者様へ活用の幅を広げるなど、より体制整備を強化できればと思います。早速参考にさせていただきます。

企業として「災害対策」のあるべき姿についてどのようにお考えですか。また、御社で取り組んでいることはございますか。

下村 まずは災害発生時の「安否確認アナウンス」の自動化精度向上です。災害発生時には、誰が、どこに、いるのかは分かりかねます。災害担当者が状況確認を、自力で担当することは場合によっては困難なこともあると思います。いかに状況確認を「自動」で出来るか、その精度をあげていくかが今後のカギだと思っています。また技術的な取り組みももちろんですが、やはり一番重要なことは、BCPや災害対策について企業のトップがいかに真剣に向き合えるかということです。ここでいう対策とは、事業存続はもちろんですが、それ以上に社員とその関係者の安全確認と安全確保です。ここが欠如していては、形だけBCPを作っても何も機能しないと考えています。

森下 全くもって同感です。やはり企業にとって「人」という資源はもっとも重要だと私たちも考えています。私自身、組織の中で安全対策管理を担っているため、有事の際に正確な情報把握、安全確認・安全確保は第一優先すべきことだと認識しています。形だけの災害対策・BCP対策は意味がないですもんね。

最後に今後の御社の展望について教えていただけますでしょうか。

下村 私どもは安否確認システム「安否コール」サービスを通じて多くの企業様の安全管理の一助を担っています。
まずは先ほどもお伝えした通り、弊社のサービスをより細部まで利用者様、また新たなサービス提供者様に確実にアナウンスしていくこと。そして次の構想は、災害対策におけるワンストップサービスの提供です。例えば、災害対策については弊社の「安否確認MAG」のようなサイトで、情報把握や、必要なモノが購入できるなど。特化したワンストップサービスが提供できればと考えています。

そして、外部システムサービスとの連携によるサービスの拡張と利便性の向上を考えています。御社でもさまざまなシステムサービスを利用されていると思いますが、連携することでよりサービスの質を向上できることが多々あると思っています。例えば交通情報の共有できる、ライフラインなどのインフラ情報の共有など可能性は無限だと思っています。また社内でも新たな試みとして、ウェアラブル端末を配布しスマートフォンに依存しない新たなサービス形態も模索しています。
その他にも私たちだから出来ることをこれからも模索し続け、企業様とともに災害対策について共有出来ればと考えています。

森下 確かに災害発生時に手元にスマートフォンがあるとは限らないですもんね。時代の変化に併せて常にバージョンアップされているのですね!
いくら良いシステムを導入しても活用しなければ意味がありません。有事の際にしっかりと機能させること。社員とその家族への普及はもちろん、管理者としても有事の際にしっかりと機能させることができるようにしていきたいと思います。

今回は、改めてBCP対策・安全管理について考える良い機会となりました。ありがとうございました。

この記事のまとめ

近年、災害対策・BCPへの意識は高まっている。
2020年コロナ発生に続き、ここ数年、各地での地震発生や、台風や異常気象による災害など、関東大震災や東日本大震災ほどの甚大な被害でないにしても、交通機関・ライフラインの乱れは頻繁に発生している。
いつどこで災害が発生するかは予測ができない。有事の際にまずやるべきことは何か。安全確認・安全確保はもちろん、自助・共助・公助が重要となる。
これからの企業のあるべき姿・災害対策について、自社の体制構築はもちろん、建築業界全体で取り組む必要があると考える。

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