社員が所属する日本一のスポーツチームに学生記者が突撃取材 !【前編】~ビーチハンドボールの魅力~
DATE : 2023.10.10
「ビーチハンドボール」という競技をご存じだろうか。
ビーチの上でするハンドボール…?と想像する人も多いだろうし、私もそうだった。
ただ、実際は似ている部分もあれば、全く違う部分もあるといった競技である。
室内ハンドボールと違い、 4対4で10分×2セットの試合が行われる。
各セットで多く得点したチームがセットカウント1ポイントを得て、ポイントの多い方が勝利する。
他にも細かなルールがあるが、ゴールを多く奪ったチームが勝利するという競技内容だ。
コートはもちろん砂の上。
シュート時に回転するなど、アクロバティックな要素が多いことも特徴の一つだ。
競技を実際に見れば、試合はまるで【砂上の空中戦】。
迫力満点だ。
そして、今回はそのビーチハンドボールで日本一、先にある世界を見据える社会人チームを取材させていただいた。
(取材・執筆:愛知大学4年 山岸天舜)
この記事のPOINT
- 結成の理由は「ビーチハンドボールをもっと多くの人に知ってもらいたい」という想いだった
- 空中を舞う戦士たち、目を奪うパフォーマンス
- 競技を続ける葛藤・苦悩
- これからも、仲間とともに
この記事に登場する人
芝 奈津実さん
株式会社アイジーコンサルティング 法人課
ポジション:GK(ゴールキーパー)
ビーチハンド歴:5年
中学〜大学までハンドボール部で普段は会社員。好きな食べ物はサーモンアボカド丼。趣味はサッカー観戦、サーフィン、ソフトバレー。
川畑 博美さん
ポジション:DF(ディフェンス)、SP(スペシャル)
ビーチハンド歴:4年
高校、大学はハンドボール部に所属。普段は営業として働きながら、今でも社会人チームで活動中。好きな食べ物:お肉。
加藤 真彩さん
ポジション:RW(右サイド)
ビーチハンド歴:7年
中学〜大学までハンドボール部。普段は会社員。好きな食べ物はカニときゅうり。
谷川 祥子さん
ポジション:SP(スペシャル)
ビーチハンド歴:10年
普段はオーストラリアで働きながら、専門学校で勉強中。
好きな食べ物は寿司。趣味はハイキングとサイクリング。
赤石 有里紗さん
ポジション:LW(左サイド)
ビーチハンド歴:6年
目標→SWAGメンバーと世界で戦う&ビーチハンドボールの県予選開催。
【取材】山岸天舜さん
愛知大学4年
スポーツライターを目指して活動中。小学生~高校生まで野球をやっていた。
関東を拠点に、愛知・静岡でも活動している〈女子ビーチハンドボールチーム「SWAG」〉
前回、for long 365+1の中で紹介されたアイジーコンサルティング名古屋支店 メンテナンス事業部 法人課で働く芝奈津実さんが所属しているのもこのチーム。
▶
日本代表を目指しながら働く。仕事とスポーツを両立する社員へ直撃インタビュー
働きながら日本一、世界を目指す社会人アスリート。
取材の中で、スポーツをプレーする楽しさやチームについて、そしてその裏にある葛藤や苦悩までお話を聞くことが出来た。
前編ではビーチハンドボールという競技、そしてSWAGというチームについて。
後編ではスポーツ×仕事・人生という2部制でお送りさせていただく。
ビーチハンドボールを多くの人に知ってもらいたいという想いで結成された「SWAG」
女子ビーチハンドボールチーム「SWAG」はいつ結成されたのでしょうか。
川畑さん 2020年4月から活動を開始しました。
ビーチハンドボールで日本一、その先の海外大会での勝利を目指すためにメンバーが集まってくれました。
ただ、勝利を目指すだけではなく、ビーチハンドボールを多くの人に知ってもらうために結成されたチームです。
加藤さん ビーチハンドボールを広めるために、コロナ以前は中高生の学生に向けて、講習会を開いていました。
実際に砂の上でプレーしてもらって、ビーチハンドボールの面白さを伝えていました。他にもマイナースポーツのイベントに参加して、ビーチハンドボールという競技を知ってもらうための使命感を強く持って活動していますね。
空中を舞う戦士たち
ビーチハンドボールの魅力とは何でしょうか
谷川さん 空中の攻防戦などのアクロバティックなプレーが多いところですかね。
単純にカッコイイというのは選手も観客も楽しめる要素の一つかなと思います。
それと、スピード感があるのも魅力ですね。
攻守交代が激しく入れ替わるので、ハラハラドキドキの連続です。
赤石さん ハンドボールとの違い、2点プレーがあるところです。
空中で回転して打つシュートは2点プレーになるので、決めた時は気持ちいいです。
それと2点プレーがあることで、一気に逆転されることもあるので、常に気は抜けないです。
その緊張感も面白いところですね。
芝さん ゴールキーパーがシュートを決めても2点入ります。
ゴールからゴールへのロングシュートは見ている人も面白いと思ってもらえる要素だと思っています。
ここまでの話で、ビーチハンドボールに対するイメージがなんとなくついた人も多いのではないだろうか。
「アクロバティック」、「スピード」、「独自ルール」
私も実際に初めてこの競技を見て、その迫力と面白さに驚かされた。
攻守が目まぐるしく変わる中で、随所にアクロバティックなプレーが見られるため、
常に試合から目が離せないのだ。
そんなビーチハンドボールの魅力が聞けたなかで、
「このチームが好きだから、それもビーチハンドボールを好きな理由」
という声が大きく聞けた。
では、SWAGの魅力とは一体なんなのだろうか。
家庭と会社以外のスポーツでつながるコミュニティ。
SWAGという場所が、選手たちの心の大きな支えとなっているのだ。
社会人になっての新たな交友関係を築くというのはなかなか難しい。
でも、スポーツによって新たな人と人との繋がりが生まれるのだ。
日常から少し離れて、スポーツをする。
選手の皆さんにとって、それは何よりのリフレッシュになっているはずだ。
ただ、その一方で、ビーチハンドボールが直面している厳しい現状を語ってくれた。
ビーチハンドボールを続ける上で大変なことは何でしょうか。
川畑さん 競技上仕方がないことですが、ビーチという限られた場所でしかプレーできません。
そのため、練習会場の予約を取ることが大変ですね。
芝さん 活動は関東を中心と言いつつも、愛知や静岡などの全国各地で活動しているため、交通費もかなりかかりますね。
加藤さん SWAGに限らず、全日本の連盟もマイナースポーツであるため、どこのチームもお金が集まりにくいという一面があります。
そんな中で、競技を続ける上でのモチベーションの一番の弊害について教えてくれた。
谷川さん ビーチハンドボールは日本一になったチーム、もしくは選考会で選ばれたメンバーが日本代表として、アジア大会・世界大会に出場することが出来ます。
私たちもそこを目指して結成しました。
しかし、コロナで海外での試合が無くなった影響で、今は日本代表の選考会がないんです。
加藤さん
そのため、日本一になったとしてもその先が見えません。
世界で戦いたい私たちや、ビーチハンドボールをプレーしている人にとってはそこがどうにもならない壁になっていますね。
赤石さん これで世界大会があるとなれば、またモチベーションも今以上に高まります。
それで企業のスポンサーさんとかも集めることが出来ると思います。
日本一を目指し、その先の世界で戦うために結成されたSWAG。
日々の練習や試合で金銭的負担が大きくても、日本代表という目標が選手たちの原動力になっていた。
しかし、日本代表がなければそのモチベーションが失われることは当然だ。
自分たちではどうすることもできない大きな壁だからこそ、そのジレンマは大きい。
ただ、だからといってビーチハンドボールという競技を投げ出すわけではない。
そこには、この競技が好きだという思いと共に、「SWAG」というチームの存在が大きい。
ビーチハンドボールを続ける原動力
SWAGの魅力とは一体何でしょうか。
川畑さん 本当に愉快なチームですね(笑)
いい意味でも悪い意味でもうるさいチームです(笑)
ただ、ビーチハンドボールのポテンシャルはすごく高いので、楽しさと強さを兼ねそろえているのがチームの大きな魅力です。
谷川さん 私は今海外留学をしていて、普段はオーストラリアにいます。
今回はこのメンバーとビーチハンドボールをするために帰国しています。
ホームシックではないですけど、チームシックになって、久しぶりに再会したときは涙が出ました(笑)
それぐらいかけがえのない大切な仲間がいることは魅力的ですね。
赤石さん このメンバーでないと、ビーチハンドボールを続けられないと思います。
仕事の疲れや、練習や試合の会場が遠くて嫌になりそうな時もあるんですが、みんなに会えるから行こうと思えますね。
「このメンバーだからビーチハンドボールを続けられる」
今回の取材ではそう語る選手が多かった。
スポーツをプレーする上での一つの要素に「何をやるかよりも誰とやるか」が
あると思う。
かけがえのない仲間と、社会人になってからも日本一、世界を目標に戦うSWAG。
ビーチハンドボールを取り巻く厳しい現状もSWAGというチームだから
挫けず、支え合って立ち向かっていけると感じた。
後編ではスポーツと仕事、そして人生。
最後にはビーチハンドボールという競技の今後についても話してもらった。
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社員が所属する日本一のスポーツチームに学生記者が突撃取材 !【後編】~仕事をしながら日本一を目指す~
この記事を書いたのは
山岸天舜 愛知大学4年(2023年9月現在)
小学校2年から高校3年生まで野球をプレー。大学2年時からJr.Athleteでインターンに参加し、そこでスポーツライターになることを決意。
現在もJr.Athleteインターン生として、日々、学生の取材・記事執筆の活動に取り組んでいる。
※
Jr.Athlete|地元学生の部活動を応援するフリーペーパー。学生、その親御さんから高い支持を得ている。
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